提案『時系列 No.2 月年齢別』
時系列を育てるには親の時系列を意識した声掛けや行為といった関わり方が重要であること、そして絵本を通して思考を促すことなどを記してきました。時系列や時間軸を表す言葉は子供達の時間軸の理解を促す材料になります。『朝・昼・夜』『昨日・今日・明日』『今・後』『過去・現在・未来』『始まり・終わり』『最初・最後』『先ず・次に・そして・最後に』『曜日』『先週・今週・来週・再来週』『1年は12ヶ月=365日』『時間・時刻』『季節』など挙げようとすればいくらでも見つかります。その代表的な材料をどのタイミングで使用していくのかを簡単にまとめました。これらは全ての取り組みではありませんが大筋だけ記しておきます。
1、0歳の傾聴と予測結果の反復
0歳児は時間軸というものが育っていないといえば育っていませんが、空腹なら泣いて知らせオムツが濡れたら泣き、体温変化に不快を感じると泣くという生命維持に関することを中心の生活ですが、徐々に睡眠時間が短くなり起きている時間が長くなります。それと同時に規則的な生活で時間を意識させる体内時計の構築が欠かせません。朝起きたら「朝だよ、おはよう」夜眠る時には「夜だからおやすみなさい」という基本的な声かけに始まり、「春だよ、暖かくなってきたね」「夏だよ、暑いから水浴びしようか」「秋だね、涼しくなってきたね」「冬だよ、寒いからもう一枚服を着ておこうか」などできるだけ時間や季節を伝えながらは日の光や気温を感じさせる言葉かけなどの親の働きかを行います。
と同時に新たにこれから築く必要がある時間軸の土台となる時系列行為の実践を行うようにします。その方法とは日々の生活の中で乳児が関わることは実況中継のような語り掛けをしながら物事を推し進めていくということです。「さぁ、これからオムツを買えますよ。」と乳児に声を掛けながら段取りを言葉にして乳児の傾聴を促します。そして行動一つ一つを言葉にしながらオムツ変えを毎回行うようにすると、乳児は次に何が起こるのかを予測し結果を確認し、その行動の流れが理解できるようになります。時間軸とは関係のない語り掛けのように感じるかもしれませんが、時系列としての働きかけの部分ですので予測結果を思考力に結びつける働きかけを行いましょう。
2、1歳児は目の前に繰り広げられることを時系列で
1歳は日常に展開されることを兎に角さらっと見せる、触れる、聞くと音に合わせて体を動かす、手や舌で味わう、短い挨拶に返事や感嘆言葉を発する、色々な香りを楽しむなど五感をフル活用し体験させることを中心に短い言葉でわかりやすい言葉掛けを交えつつ、共有雨する時間を送りましょう。『最初』と『最後(おしまい)』という時間に関係する言葉を取り入れて行動にも始まりと終わりがあるという概念を育てていきます。その後に『次に』という言葉を入れるようにし最初があっつて次に続き、最後で終わるというような流れを理解できるように関わりを持つようにします。我が家で行っていたことは1日の食事の中で海藻をなるべく3食取り入れることを行い、1日3食の白米を海苔で巻いて食べることでした。子供の目の前で「最初に一口大のおにぎりを握ります。」「次に海苔を巻いて」「最後にパクッと食べます。」るという具合に『最初・次に・最後』の3語を使用し、時系列でその流れを目で確認させ体験させると落ち着いて待つことも傾聴することもできるようになります。またこれと同時に数のカウントをして待たせることも行います。
3、2歳児は質問しながら時系列のアウトプット
1歳児の日常に展開される見るをじっくりと熟視するにステップアップさせ、触れるをじっくりと皮膚を通して感触を味わう、聞くは聞き耳を立てたり、聞こえてくる音を思考に結びつけることや音に合わせて踊る、歌うを充実させるのが2歳児です。五感を刺激することを全て引き上げつつ質問をしながら時系列に合わせた返ができるように時系列アップを促します。
親や兄弟姉妹、そして周りの人との関わりを通して多くのことを見聞きし体験してきた2歳児であってもまだ時系列で話を言葉にすることは未熟な2歳児です。よって大人サイドから時系列の質問を繰り返し、しっかりとした受け応えができるようにアウトプットする働きかけが必要になります。そして当教室では数字を入れ込んだ時系列も2歳から本格的に導入していきます。1歳児で『最初・次に・最後(おしまい)』をどうさ見聞きした子供たちは、数字のインプットをしながら1番目、2番目、3番目・・・という具合に順序に目を向けていくようにします。
また2歳児は自ら話を整理して言葉することが難しい年齢でもあります。よって聞き手側の大人が『いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように(どうして)』といったことを引き出しながら文章化できるように促して楽しく反復練習できるようにします。
4、3歳児は現実事象
一般的に3歳児は数字に興味を持つ年齢と言われています。当教室の場合は働きかけが乳児から始まっているのでもっと早めに出てくるのですが、この時期にカレンダーの数字をしっかりと見せる経験を増やして日付の土台作りを行っていきます。
生活の中でやり取りをしていると『今』と『後』という言葉が多用されてきます。すると『今日』が理解できるようになりますが、それは現実事象という今の時間空間での認識が育っているので目の前で起きたことに焦点を当て「誰とどこでどのようにして遊んだ」など時系列でお話をするようになります。その経験を話せるように導くと同時にやカードや絵本などを使用して上手に時系列でお話や説明ができるように促していきます。
教室での取組みはカレンダーを用いていくために一年は12ヶ月あることや平均30日として月の日数を大枠でおしえていくこと、曜日などの知識のインプットを行いながら絵カードや絵本、教具を活用して4歳児の取り組みの土台作りを行います。
5、4歳児は非現実事象
3歳児とは異なり4歳児は過去に起きたことや目の前で起きたこと以外の話をすることが上手になります。教室の生徒さんでも4歳になると幼稚園であったことやお友達とのこと、これから行われる行事や旅行のことなど上手にお話しするようになる年齢です。この非現実事象を想像したり思い出すことが上手になるん勉励でもありますが、時系列で話を進めることができる子もいれば、よくよく聞き手が話を整理して聞いてあげなければ話が見えてこない場合もあります。この差というものは日常的会話分の構築が家庭内でなされているか、絵本を多読し文章に触れる経験を多く持てているかによります。日常会話はやはり家庭内での偏り的な言葉使いが必ず存在するので、できるだけ多くの文章に触れる絵本を活用することがとても重要であり親御さんも新しい言葉を使用するような意識づけが必要であると考えています。何より子供が話をしようとする場合には意図が分かっていても先回りをすることなく、辿々しい言葉であっても話が終わるまで待ってあげることが必要だと考えます。と同時に昨日の出来事を記憶を引き出しながら会話文にすることをたくさんさせましょう。幼稚園から帰宅したお子さんに「今日は幼稚園でどんなことがあったの?」ということを実践すると良いでしょう。
4歳になると『昨日・今日・明日・明後日』までは最小限インプットしたい時間軸の言葉です。「一昨々日・一昨日・明々後日・弥明後日』を追加していきますが、そこは個人差があるので理解力に合わせた取組みを行います。またカレンダーを用いて『先週・今週・来週・再来週』なども進めることもできます。そして時計を用いての時刻の学びもスタートする年齢です。
6、5歳児は日常の時間軸を学び、未来の時間軸についても考える
一般的に子供達に日付の感覚が生まれるのは6歳ごろと言われています。ただ家庭の中で日付などの時間軸が構築されている場合は4、5歳でその理解を進めることが十分できます。もしかするとそれ以上の理解にもつながることも夢ではないと思います。特に5歳になれば明日の予定は何があってそのためにどのような準備をすればいいのかという実践ができていれば、スケジュール管理や自己管理ということにも繋がります。そのようになれば大きな単位での時間軸の学びが容易になります。1年は12ヶ月あり30日と31日、28日と月の日数の違いも分かり出すようになり、日付や曜日とスケジュールをマッチングし『明日はどんなことをするんだ』『来週はこんなスケジュールが入ってる』『次の約束は・・・』など過去の記憶の引き出しも行いつつ、現在や未来についても思考を掘り下げていくようにしましょう。
また時刻読みや時間計算なども進めることになりますが、この取組みは学習域に入るので個別能力を判断することになります。
7、6歳児はさらに大きな時間軸を学ぶ
この6歳児には教室の生徒さんはさらに一歩進んだ時間軸を考えることになりますが、かなりの確率で状況説明が的確で上手に話をすることができるようになっています。
たとえば1日が24時間あること、午前午後に分かれた表記があること、1日の始まりと終わりや昼12時の言い回しが幾つかあることなど、そして国により時差があることなどさらに複雑になる学習を行うのが当教室の生徒さんです。よってお子さんが小さい頃から時刻を意識した声かけを行うことをお勧めしています。そして6歳になるとただ状況説明だけをすることで満足せずに、論理的思考で出来事について自分自身の意見を述べることをしてほしいと考えます。また起承転結で話を進め得ることができたら相手に理解しやすい話し方を身につけることができるでしょう。
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