提案『粘り強さを引き出すGRIT』
今回は粘り強さややり抜く力を引き出すには『GRIT』を最大限に引き出すことが重要と言われるようになって久しくなりますが、まだまだ一般的に浸透していないような気がしています。今回はこの粘り強さややり抜く力を引き出す『GRIT』について提案して参ります。
社会や時代が激しく変化した現代を逞しく生き抜くためにはこのGRITは大人も子供にも必要なものであり、どのような年代の人でも獲得しようと心掛ければ獲得できるものです。そして私が常日頃から感じているのは、このGRITを持っている人の多くは朗らかで活気に満ち溢れていて、ここぞという時には物静かで集中して物事をやり抜いています。厳しい時代だからこそ『GRIT』を獲得して満ち足りた人生を送ってほしいと考えます。
1、GRITの『G』= Guts(度胸)
「男は度胸、女は愛嬌、坊主はお経」という諺がありますが、江戸時代に度胸のある男や愛嬌のある女が少なくなったことから生まれた言葉で、その後にお経をしっかり唱える坊主も少なくなったという流れで誕生したと言われます。しかし現代においては男女問わず度胸というものを持ち合わせ臆することなく前に出ていく度胸を獲得しててほしいものです。
度胸とは物事を恐れない心や気後れしない精神力、何事にも動じない気力という意味ですが、この度胸をもっている子供は失敗のことなど念頭にないようであり失敗を恐れずに物事を楽しんでいたり、新しいことに自ら挑戦する特徴があります。そして歳を重ねるごとに肝も据わってくるたくましさがあります。
では子供達の度胸をどう育てていけばよいでしょうか。
度胸をつけるには先ず新しいことにチェレンジさせることでしょう。年齢が低ければ低いほど色々な挑戦を果たすことで失敗も恐れず、物怖じもせず挑戦することができます。つまり挑戦が当たり前のような環境を作ることに尽きます。例えば私が子供の頃は親戚の集まりでは大勢の親戚の前で歌を歌わされたり、ピアノを弾かされたり、踊りを踊るよう言われたものでした。また我が子の場合はピアノやヴァイオリンの演奏会やコンクールに限らず、作文コンクールなどで市民会館などの大ホールで読み上げるなど大きな舞台を経験しました。すると低年齢の頃から挑戦していると失敗も何のそのという感じで堂々とし、場数を踏ませると緊張もせずに難なくこなすことができるようになります。失敗がどのようなことかがわからない低年齢で前に出て行動を起こすことを楽しむように育て、楽しんでいる絶好のタイミングを逃さずに度胸を育ててあげましょう。
2、GRITの『R』=Resilience(復元力)
物理の復元力や高校生物基礎の生態系の復元力を思い浮かべる方もおられるでしょうが、ここでの復元力とは失敗をしてもやり直せる力、立ち戻ることができる、元に戻せる力のことを指します。言葉の通りたとえ失敗したり間違いを起こしたとしてももう一度やり直せる力を身につけさせることが復元力です。
では子供達の復元力をどのように育てていけばよいでしょうか。
間違えてもいいから、失敗してもいいから先ずやってみると度胸をもって物事をスタートすると案外堂々としているものです。この場合には失敗してもミスをしてももう一度やり直せるという前向きな捉え方で復元力を養うことになります。ただ失敗を恐れている場合にはミスを指摘するのではなく、こうすれば上手くいくという方向性が明確になっていれば不安にならずにやり直すことができます。つまり不安を煽るような指摘はせずに安心材料を与えることが望ましいと言えます。しかし子供の中には楽観視しすぎる場合や努力を怠って復元力を勘違いしている場合もあるので、その場合にはなぜ失敗を繰り返すのかということを指導しなければならないこともあります。この点だけは注意してください。
3、GRITの『I』=Initiative(自発性)
率先して動き積極性を持って優位に立つことを表し、日本語として定着しているイニシアチブを取るはリーダー的立場で行動する意味でもあります。子供達には指示を待つ受け身の姿勢や行動ではなく、自ら率先して今何をなすべきか自ら考えて行動を起こすことができる自発性を身につけてほしいと考えます。
では子供達にその自主性をどのように身につけさせればよいのでしょうか。
私のブログを読み込んでいる方はその答えが予想できると思いますが、兎にも角にも自分自身で考える習慣を先ず身につけさせることです。そして親御さんが指示出しをしない、口を挟まない、余計なことを言わない、子供の先回りをせずに子供を信じて子供の行動を見守るようにすることです。残念なことですが子供が喜んで自ら選択して遊ぶことにまで口を挟んでしまうお母様もおられます。これでは子供の自主性を育てないように懸命に根回しをしているようなものです。子供可愛さのあまりこのような指示を出すことや子供に失敗してほしくないという思いから生じている場合もあります。しかしこれらの親の行動は親のエゴでしかありません。私たち親は生物的観念から子供より親が先に旅立つ時が来ますが、自分で何一つ決められない大人に成長した子供を残していくことを考えると後の祭りにならぬよう親が心しなければなりません。つまり子供自身が自分で考え行動が起こせる環境を作ることが自主性を身につける近道なのです。
4、GRITの『T』=Tenacity(執念)
最後の頭文字こそ『粘り強さ=やり抜く力』を指します。集中力の短い低年齢の頃は粘り強さは無縁と思うお母様方も多いものですが、2歳児で既に自分自身の力でやり抜こうとする片鱗が見え隠れする子供もいます。つまり2歳児は親の力を借りずに自らの力だけでやり抜こうとする自立の発達期を迎え、そのタイミングを逃さずに集中して実行できる環境を与えるだけでこの粘り強さや物事を自力でやり抜こうとする力を育てることができるのです。
では子供が粘り強くやり抜こうとする道に誘うためにどうすればよいでしょうか。
夢中になってやり続ける好きなことを先ず見つけることです。これまで指導してきた生徒さんが成人し、子供の頃好きだったことと関係している職種に就いているという感覚が私にはあります。つまり子供は生まれ持った性質を活用して日々の生活送り、その上に経験を積み重ねて自分自身のやりたいことを見つけているような気がします。そして成長と共に自分自身の好きなことを活かし、その中で社会の一員としていかに自分自身の役割や役目、自分らしさを追求できる道を選んでいくかを考えることができる人物になろうとするのがこの執念を身につけた子供です。好きなことは多少の辛さや厳しさがあったとしてもそれを乗り越えるだけの粘り強さを発動してやり抜くことができます。そして好きなものこそ上手なれで熱心に工夫して学び、テクニックに磨きをかけることができ上達するものです。
粘り強さややり抜く力はあらゆる面において有効に、そして意味ある結果を導き出してくれます。是非とも楽しさや面白さの先にあるこの粘り強さややり抜く力を獲得し、多くの喜びを味わってほしいと切に願います。
この『GRIT』を初めて目にした方は繰り返しお読みいただき子育てに活かしてくださると嬉しく思います。
0コメント