『SDGs5項 ジェンダー平等を実現しよう No.9』
今回取り上げる『ジェンダー平等を実現しよう』では世界的に見ても多くの問題があり「性別に関する考え方や扱われ方によって、不公平や生きづらさが生まれていること」を意味しています。例えばが男女の不平等(ジェンダーギャップ)、ジェンダーによる固定観念(ステレオタイプ)、LGBTQに関する問題、学校や職場での問題、世界に目を向ければ児童婚などの有害な慣行などがあります。ジェンダーの問題とは「誰かを特別扱いすること」ではなく、「誰もが性別に関係なく、自分らしく、平等に権利や機会を持ち差別や暴力を受けず同じように尊重されること」を目指しているのです。これからの時代を担う子供達には世界的な視野に立ってのジェンダー問題をしっかりと受け止めることが必要だと考え今回記事配信を行います。
ではSDGs目標5の主な内容には、次のような具体的ターゲット(目標)があります。
1、男女の不平等(ジェンダーギャップ)
性別によって機会・待遇・権利・責任などに差が生じている状態のことを意味します。多くの場合、教育・社会・経済・政治・健康・安全の分野で、女性が不利な立場に置かれている状況があります。例えば世界的に見て女子が高等教育を受けにくい国や地域があったり、日本の理数系分野で女性が少ないなど進路選択の偏りも見受けられます。また仕事や経済面から見ても男女の賃金格差や管理職やリーダーに女性が少ない、育児・家事に男性が参加する仕組みが整い始めていますが、まだ負担が女性に偏りやすい現実があるのも事実です。政治面からいうとようやく日本では高市早苗氏が内閣総理大臣に就くことができましたが、政治・経済分野の女性の割合が低く、意思決定の場に女性がまだ少ない状況にあります。また日本では健康・安全・医療へのアクセスに於ける男女差の平等がありますが、世界的に見た場合まだまだ不平等です。ではなぜそのような状態が生まれたのでしょう。
ジェンダーギャップは昔からの性別役割分業の考え方から生じています。例えば「男性は働く気、女性は家庭を守る」「男性は強く、女性はか弱い」「夫は妻や子供を守り、妻は夫を支え家庭を守る」などの考え方が英⑨要しています。
ではこのようなジェンダーギャップをどう排除すべきなのかということですが、先の固定概念を一度植え付けられ成長した成人を変えるのはなかなか難しいものです。つまり幼い頃から親が男女差を意識させない教育をするべきだと考えます。例えば人形遊びは女の子のすること、車遊びや積み木遊びは男の子のすることという考え方を持たずに、全てのことで男女の垣根をとっぱらった教育をするということです。しかしその一方で遺伝的潜在意識的に備わっている男女差が存在するのも事実です。例えば腕力は男女で比較すると差がありますし、人の表情を見るのは女児が長けていたり、空間認知の平均値が優れているのは男児だったりします。これらのような能力的な男女差をしっかりと理解した上で、それぞれの性差を補うような働きかけは大変重要で有益な結果を生み出すと考えています。動きに動き回る男児なら人の感情や表情をしっかりと読んで察することを心掛け、動作が俊敏でない女児には体を使った遊びや運動をさせ、将来自分のことは自分でできるように料理・洗濯・掃除・ボタン付けなどの軽い裁縫を身につけさせることは勿論、兄弟姉妹や動物を慈しみお世話をすることも是非行っていただきたいと考えます。
2. 暴力をなくす
家庭内暴力(DV)、性暴力、ハラスメント、人身取引などは何十年も前から問題視されていることであり、被害に遭った人々が心身ともに深い傷を負うことにもなる人間の尊厳を脅かす卑劣な行動といえます。それらが生まれた背景をしっかりと考えて根絶する方向に向かわなければなりません。これらに共通する大きな要因は、一方が他方を支配できる立場にあることです。年齢差、性別、経済力、地位(上司と部下、親と子など)、在留資格や言語、障害の有無などの弱い立場などあり「自分の思い通りにしたい」「逆らわせない」という権力や支配の不均衡で暴力や搾取に繋がっています。その原因は昔からの固定概念である「男は強くあるべき」「女は従うべき」の他に、大変問題のある性的対象として人を扱う考え方も含まれ、マイノリティ(女性、子ども、LGBTQ+、外国人など)への偏見や価値観が、暴力を正当化し被害を軽視したりするのです。また暴力がある家庭や環境で育つと、それを「普通」と誤って学んでしまうことがあり、子供自信がそれを真似て実行し、その行動を周囲が止めない或いは問題にしないと学習された行動起こしてしまいます。もう一つ忘れてはならないことはメディアや周囲からの影響も受けてしまうこともあります。しかしこれらの暴力行為は暴力を働いた人が学び直して止められる行為でもあります。
その一方で私にも困ったなという経験をしたことがあります。医師のご家庭のお子さんを担当したおりレッスンに通室するのはお子さん、私の指導の窓口はお母様、しかし家庭内で実際に指導指示を出すのはお父様。お父様していたはずなのに子供に成果が出ないと奥様を叱るというなんとも奇妙な構造が出来上がっていました。そこで私がどのような指導をしたのは皆様のご想像にお任せしますが、ご夫婦間でのしっかりした話し合いや互いを認め合うこと、役割分担を明確にしておけば多くの時間を無駄にすることはなかったのだろうと。これもまた愛情のなせる形を変えた鋭さの暴ぶる行動だったと言えるでしょう。どこにでも起こりうる問題ですが今では健全で明るい見通しのついたご家庭になっています。
3. 有害な慣行をなくす
世界には「有害な慣行」として国連や人権機関が問題視しているものは、児童婚、強制婚、女性性器切除(FGM)以外にもいくつかあります。どれも女性や女児に向けられたものが圧倒的に多く、日本では想像もできないようなことばかりですが世界の発展途上でも今も行われています。その他にも結婚時の持参金を理由に女性が虐待や差別を受けること、寡婦(未亡人)に対する再婚の禁止、社会的隔離、財産を奪われるなどの扱いを受けたっり、美容・純潔・伝統を理由に危険で極端な身体改変で女性や少女に対する身体を傷つける儀式、思春期や月経を理由に少女を学校や社会から遠ざける強制的な隔離や行動制限慣行など日本では考えられないことが行われているのです。これは発展途上国で行われていることが多い観光ですが、そのようなことが罷り通らないんだということをある程度年齢が行った子供達に教育として教えるべきものだとも考えます。
これらの行為がなぜ行われているのかを子供達と考えてもいいかもしれません。私が想像するにこの問題は何世代にも渡り続いてきたため、伝統や慣習が「当たり前」になり疑う余地もなく正しいこと信じられている可能性があること、教育が行われず健康や人権とは何かを知らず危険で違法、そして人権侵害であることを知らないまま行われ、また実害があっても、変えることが「文化を否定する行為」と受け取られやすいのかもしれない。私はこのような話をしながら自身の子供達には『教育とは自分自身を守る一面もある』と教えてきました。どんなに小さな子供でも自分自身を守る能力は働きますから教育の大切さをこのことから理解できると確信しています。しかし実際にこれらの慣行は特定の人たちが「悪い」から起こるわけではなく、多くの場合「知識がない」「選択肢がない」「逆らえない」状況の中で続いているので、だからこそ教育・対話・女性や子どもが自分で考え、選び、行動できる力を身につけるエンパワーメントが解決の鍵になるはずです。
しかし有害な慣行ではありませんが、アメリカなどでは男女に関係ないく子供達が誘拐され人身売買で被害に遭うことも起こり、日本でも少年が誘拐され外国で詐欺の片棒を担がされていた事件も組織犯罪として起こっていまし、アジア圏に連れていかれ詐欺組織の摘発で日本人も本国移送されている現状を見ると、犯罪ですがこれがもしかすると慣行となるのではないかとさえ思うのです。やはり常にニュースやさまざまな記事を読んで臨機応変に動くことが今まで以上に求められるかもしれません。
4. 無償の家事・ケア労働の是正
現在の若いお父様やお母様を拝見すると比較的分業をしたり、できることをできる側が臨機応変に対応するということをなさっているような気がします。これまでのように女性に偏りがちな家事・育児・介護などが女性の社会進出により姿を変え始めたばかりで、女性が行なっていたことを無償労働の負担として考えとらえる社会の流れになったことは大変喜ばしいことと言えるでしょう。その無償労働を誰もが理解できるように見える化し、社会全体で分担するという考え方が革新的ではなく実像にあった形で動き出し、社会と人それぞれが理解し考え方を明確にし制度を整えることが望ましいと考えます。現在は保育園や幼稚園の待機児童も減りつつあるようですが、役所では保育園入園希望者を点数評価する制度があり、それに従い入園の優先順位が決められていますが、私はその加点方式を用いて家事評価で夫婦の役割分担にも見通しがつくのではないかと考えています。家庭の中には名前のつかない家事があり、気付いた人がやればいいとの考え方で家事を行おうと決めていたお母様が、見て見ぬ振りをするご主人に怒り心頭になるお話を伺ったり、本当に私は前世良きことをしたからご褒美が来ているのかしらとご主人の率先した家事と育児の関わりに感謝されているお話や私のように主人の再教育にあたること、共働きか専業主婦か、若い世代のご家庭か老齢化の夫婦化など考えることはいろいろありますが、今言えることは『どのようなご家庭で、どのような働き方に限らず、子供の頃から男女差なしの家事や育児に結びつく教育を施すべくである』そう考えます。人は一人では生きてゆけません。誰かに多くの皺寄せがいくのもおかしなことです。そして誰か一人が子育ての褒美を受け取るのも勿体無いじゃありませんか。夫婦一対になったのだから喜びも悲しみも困難もそして全てのことを分かち合う立場にいられたら素敵ではないでしょうか。
ではこれからを担う子供たちに何をどのように伝えるのかですが、家事や育児は性別で分ける仕事ではなく、生活する人みんなの仕事としてとらえるように幼い頃から遊びを通して男女差なく楽しませること、そしてその意義を教育の中に取り込んで教えることだと考えます。
5、性の多様性の受け入れ
性は男性・女性だけじゃなく、生まれたときに割り当てられた性別(出生時の性別)と、自分が感じる性別(性自認)が一致しない人がいます。「心の性」と「体の性」が一致していない状態の人のことでトランスジェンダーという言葉で表現されますが、自分の性別が男性でも女性でもないと感じる人(ノンバイナリー)や自分の性や恋愛対象が他の人と違うことも含まれるという人もいいますが、現代では色々な性のあり方があり、誰もが自分らしく生きられるように認められ、差別を中心とする決めつけをしないことが大切であるという考えで多様性を受け入れようとの考え方です。しかし社会がその方向で受け入れよといえども、現実には難しい問題が横たわっているのも事実です。ここで重要なことはトランスジェンダーやノンバイナリーの人々は病気ではありません。また性別適合手術やホルモン治療をする人も個人の考えおこなっているので他者が批判や誹謗中傷を浴びせるようなことでもないのです。またそのような人々が望む呼称や名前の使い方、トイレの利用、制服の洗濯など当事者が自分の性自認に合わせた生活をしたいと望むことがあ流のであれば、受け入れるということも必要なことと考えます。つまり私たちに求められていることは、「心の性と体の性が違うことがある」という認識で彼らを尊重することが大事だということです。
しかしSDGsで取り上げられているということは差別や偏見などの問題があるからであり、その偏見や差別の多くは、無知や理解不足から発生しています。人は「知らないもの」を怖がったり、誤解しやすい傾向があり、トランスジェンダーやノンバイナリー、LGBTQ+の人々に対して正しい理解がなければ、特別な人、変わっている人、自分とは関係ない存在などの見方で偏見や差別などに繋がります。また固定観念で「男はこうあるべき」「女はこうあるべき」という考えが強いとそれに当てはまらない人が「間違っている」と見なされやすくなり、この普通という押し付けが差別の原因になったりもします。
では差別や変形をなくし尊重するってどういうことなのか、そのことを教育子育てに取り入れることを考えてみましょう。例えば「男だからこう、女だからこう」というような他人の性別や性自認を勝手に決めつけないということを親が実践する必要があるでしょう。また子供には友達が自分と違う性のあり方であっても受け入れることができるような育て方が必要だと考えます。つまり差別は無知・固定観念・恐れ から生まれるため、親は子供と共にそれらについて知ること、理解すること、尊重することを心がける必要があります。小さな子供達には「みんなちがってそれでいい」というわかりやすい言葉で伝えることが良いかもしれません。そして差別をなくすことは「特別扱い」ではなく、誰もが安心して生きられる社会を作ることに繋がることも教えておきましょう。
それではまとめに入りましょう。世界ではジェンダー平等を進める動きが広がっていますが、日本は他の先進国と比べて男女平等が遅れていると言われることが多く、そのため法律や学校教育、企業の制度を変えようという議論が続いています。日本におけるジェンダーギャップをなくすためには、若い世代の親御さんが子育てをしながら次世代の子供達に対する子育てや教育を通して男女ともに同じ教育を受け、仕事の機会も男女平等であり、家事・育児を性別に関係なく分担することが普通であることを示し、固定観念にとらわれない考え方を伝えるようにすることが求められます。全ての人が性別に関係なく、平等に権利や機会を持ち、差別や暴力のない社会をつくることを目指すのだと子供に伝えられるだけの知識や理解力を親が磨くということが求められるということになります。
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