提案『感情コントロールする極技は日頃から』
「キレる」という言葉は好きではありませんが、キレるというと「急に怒り出す」または「感情が爆発する」というようなことと一般的には言われていますが、おそらくこのようになるのはある程度物心がついて小学生以降に出やすいのかもしれません。小学生以降に感情を露わにして怒るという感情が出るのはある日突然現象として出るのではなく、乳幼児期からの積み重ねであると考えています。そう記すと新聞やニュースなどで取り上げられる凶悪な事件を連想させてしまうかもしれませんが、子どもが「キレる(急に怒る・感情が爆発する)」は単なるわがままではなく、いくつかの発達的・心理的な理由があるので親や保育者が十分理解し寄り添うということが重要です。
今回は乳幼児に関する主なポイントを分かりやすく説明し、マイナスな感情の昂りをコントロールする方法を記し、尚且つキレにくくする方法も記してまいります。このコントロール方法はマイナスな方向に備えて実行するものではなく、感情が豊かな方向に働くための方法として実行してほしいと考える提案記事です。
1、乳幼児の感情出現の理由
① 感情をコントロールする力が未熟
乳幼児はまだ怒りや悲しみをうまく整理して抑える力が発達途中です。大人なら我慢できることや深刻にとらずスルーできることも、乳幼児にとっては「耐えきれない強さの感情」になることがあります。
② 言葉で上手く表現できない
特に乳児は「できない」「悔しい」「疲れている」「わかってほしい」などの気持ちがある場合に、それを言葉にできず結果として「怒る、ぐずる」という形で感情を出すことがあります。
③ 欲求が満たされていない
乳児の「お腹がすいている」「眠い」「遊び足りない」などの乳児の基本的な欲求が満たされていないと、感情が全面に出やすくなります。
④ ストレスや環境の影響
はっきり明言しておきますが子どももストレスを感じます。家庭内で叱られることが多い環境や園や学校での人間関係、生活リズムの乱れ、親の感情の起伏の激しさなどを受けることが積み重なると子供にストレスがかかり感情的になることがあります。
⑤ 「そうすれば通る」と学習している
過去に怒ったことで要求が通った或いは大人が折れたという経験があると、「怒ればいい」と無意識に学んでしまうこともあります。このような場合には「怒りを止める」よりも「気持ちが落ち着くのを待つ=無理に止めないということが重要です。
「嫌だったね」「悔しかったね」と気持ちを言葉にしてあげ、落ち着いてからルールを伝えるなどが必要になります。私の考えは生徒さんたちにはこの域に達することがないように改善策を伝えてはいますが、それを実行するもしないも親御さんの選択に任せています。
⑥ 少し注意が必要なケース
毎日のように激しく暴れる、物を壊したり人を傷つける頻度が高い、年齢に比べて極端にコントロールが難しい場合などの様子が強い場合には専門家に相談することも検討してください。
2、マイナスな感情とは
マイナスな感情が言葉や行動に出てしまうのは側から見ていても気持ちの良いものではありません。乳幼児向けの教室を開いているので1歳過ぎの小さな子供が感情に任せておもちゃを投げてしまう場合、その子供の行動をほぼ厳しく諌めることはありません。しかし私はこう思うのです。日本では「三つ子の魂百までも」という諺があり、幼いころに身についた性格や気質、本質は大人になっても変わりにくいということを意味しています。「絶対に変わらない」というよりも 人の土台は幼少期に作られ、そう簡単には変えられないと感じています。私の経験ではその諺の通りになる傾向があるので、できるだけそのようなマイナス感情を出すようなことを身につけさせないという事の重要性を伝えています。親御さんが理解し対応しなければ感情を強く表に出して物を投げてしまったり、一人に八つ当たりしたり、ぐずぐずとした態度を示すことがあります。しかしそれを身につけたからといってその行動が悪いのだと断定できないのも乳児期です。しかし日常の中で感情の起伏に囚われやすくなることが増えて、その場の雰囲気が乱れてしまう経験をし続けて歩むことになりかねません。変えることは不可能ではありませんが、時間も労力もそして本人の意識を変えることが大変な難しいことになりがちです。だから身につけない方が良いと私は考えています。現代の心理学でも幼少期の環境や経験が人格に大きく影響するということは言われていますので、マイナスな感情にブレーキをかけることを身につけさせることは一理あることだと思います。
3、マイナスな感情が作用すること
マイナスな感情というのは誰しもが持つもので、その感情を持つことはごく自然なことです。却って感情がないことの方が心配ですが、そのマイナスな感情を表に出すことが本人にとって本当に良い事なのでしょうか。おそらく本人は発散となるでしょうが、周りにその感情を波及させることは手放しで喜べるものではないと思うのです。乳幼児期に備わってしまった感情の起伏をそのままにしてしまうとやはりその人の人格の特徴となります。私も会社員の頃は感情を表に出し大声を張り上げたり、くどくどと不平不満を言い続ける人との仕事には壁壁としていました。よって仕事がうまく回らないことも多く、同僚と悩み多き時間を過ごした記憶があります。また自分自身の中でこの上司がどのような育ちをしてきたのかを分析した経験もあり、当時の私の結論ではおそらくマイナスな感情が出てきた時にこの人は感情が止められないんだ、落ち着くまで待つしかないと考えていました。そうなると社会では利益追求として結果を出す事が優先されますから、大きな仕事から外されていくことになるのです。これが社会です。感情の起伏の激しさは回り回って自分自身の環境を狭めていくことになることを幼い頃から理解させることが重要です。ではどのように理解させるのかということを具体的に記していきましょう。
4、マイナスな感情にブレーキをかける
この話を車の運転に置き換えてみます。
感情はアクセル、理性を働かせる脳の動きをブレーキに例えます。感情のアクセルを踏めば踏むほど急加速し暴走してしまいます。その感情にブレーキをかけるのが脳の働きである理性です。急加速する感情にブレーキをかけるのは大変難しいことで、本人がマイナス感情が他者に影響を及ぼすことに気づかなければブレーキを踏むことはできません。
そこで初めてブレーキパッドの必要性を感じ、そのブレーキパッドが具体的なコントロール手段だということに気づくのです。その具体的手段であるスキルや習慣を実行し、自分で最適な方法を見つけるには本当に労力や時間が必要になると同時に、パッドがすり減ると疲れやストレスでコントロールが効かなくなるなどの経験もすることになります。よって私が感情の起伏が課題になる前の小さな段階で素敵なブレーキパッドを年齢別に用いることをお勧めしています。それが以下の内容です。
5、素敵なブレーキパッド
① 乳児の遊びの中の感情の乱れを起こす場合
乳児はまだ理性が未発達なので感情のアクセルはありますが、感情にブレーキをかけるブレーキはほぼない状態です。まず親がしなければならないことは感情を代弁することです。「嫌だったね」「できなくて怒ったね」と子供の気持ちを代弁し、行動を止めながら気持ちはしっかりと受け止める。そして代わりの行動を教える事がすごく大事です。多くのお母さんは気持ちを受け止めるのは上手ですが、行動を止めることや代替えの行動を見せることは不足しがちです。一歩先を視野に入れて「嫌だたんだね。でもこれは投げるものじゃないんだよ。孔子するものなの」と繰り返しを伝え、親が行動で見せることが必要だと考えます。
② 幼児の場合
幼児の泣き叫ぶ、怒る、パニックになるなどの「感情が乱れる」は、コントロールできないほど気持ちが溢れている状態です。このとき大事なのは行動を止めることより、先に落ち着かせることを真っ先に行います。なぜなら幼児はまだ感情のアクセルを踏むことが強く、理性のブレーキを働かせるのはまだまだ未発達です。つまり話をして理解させるタイミングではないのです。まず最優先すべきことは 安全確保です。叩くことや投げるという行動ががあれば止め危険物から距離を取ることを行います。
その次に嫌がらなければ抱っこしたり膝に乗せたり、背中をさすったりと近くにいて見守りながら、落ち着いた声で「悔しかったね」「嫌だったんだ」「やりたかったんだね」と子供の感情を言葉にしてあげると子供の中で整理することが始まります。
そしてここで一番大事なのが無理にやめさせない、説得しすぎないということです。すると不思議なことに感情の波は自然に下がり落ち着いてきます。落ち着いてきたらやっとここで初めて「しつけ」が入ります「投げるのは危ないよ。こうしようね」と短く簡潔に伝えます。
ここで親が理解しなければならないことはもう一つ。感情と行動を分けることです。「怒っていいよ」という感情を受け入れること、しかし叩くことや投げるなどの行動はいけないものだと理解することです。つまり「怒るのはいいけど、叩かないよ」と 親が理性を働かせ落ち着いている声掛けをすれば 、子供は大人の状態をそのまま受け取ることができます。
感情が乱れたときは「教育」より「安心」を優先し、落ち着いてから教えること、そして繰り返しでコントロール力が育つように導いていくことです。幼児はまだまだ「ブレーキが弱い車」その車を大人は外からブレーキとハンドルを補助しながら快適に走行できるようになるまでしっかりと見守る立場にあると考えます。
③ 感情の乱れを笑いに変える
私が推奨しているのはこの感情の乱れを笑いに変える方法です。ですが結論から言うと 笑いに変えることは可能ですが、この使いどころがとても重要で子供の年齢や発達の特徴を押さえていなくては逆効果にもなります。感情が乱れているときの子供はアクセル全開の状態なので、いきなり笑わせようとすると理解できずに逆に感情がヒートアップする事があります。まずは子供の感情に共感し「嫌だったんだね」「できなかったんだ」「悔しいね」と受け止めるようにします。その後少し落ち着いた瞬間をねらい軽いユーモアを入れますが、笑いは感情の乱れに急ブレーキをかけるのではなく、感情の乱れのスピードを自然に落とす緩やかな減速の役目を果たし、気持ちが切り替えられていくように行います。この考え方は1歳から3歳まで同じですが、具体的な方法は年齢によって異なります。それでは年齢別にみていきます。
1歳の場合 (笑わせる感覚を使用し気をそらせる)
多くのお母様が行っているのは「お水をちょっと飲んでみようか」などの対処法だと思いますが、それで感情が一旦落ち着くこともありますが根本的な解決はあまり期待できません。お水の効果を狙って何度も繰り返していくと、このお水での切り替え自体を子供が拒否するようになります。そこでお水以外のもう一つの技を親が持っておくこと良いと考えています。
1歳は感覚で笑う時期で笑わせてあげることを意識して進めます。言葉で理解させることではなく、感覚やリズムを大切にしながら意外性を親が発信することをお勧めします。その感覚やリズム、意外性はご家庭によって異なります。例えば「いないいないばあ」でゲラゲラ笑い出す子もいれば、子供のお腹に唇を当ててブルブルと振動を与えて笑うことを覚えた子供は、その振動を与えただけで笑い声を上げて機嫌が良くなったり、ほっぺを膨らませて「プップップッー」とするだけでにっこり、「1、2、3ロケット発射〜」と体を持ち上げるだけで子供は期待を込めて笑顔になるなど、言葉よりも音やリズム体の動きなを発動して、考える隙を与えない事がポイントです。つまり1歳児はブレーキ掛けを教えるのではなく、マイナス感情から目を逸すまたは気を逸らすことを意識しましょう。
2歳の場合(想像力で遊びに巻き込み視点を変える)
2歳はイヤイヤを迎えると同時に想像の入口に入ってきます。よってイヤイヤ期時の感情は強いのですが遊びに引き込みやすい時期でもあります。私が子育て中でよく行っていたのは、おもちゃを用いて遊びの世界観へと目線を変えさせ思いっきりずらしてみたり、おもちゃが喋り出すという擬人化で気持ちの切り替えを行いました。例えば車のおもちゃのタイヤが外れたと子供がムッとしていたら、前輪だけを上げて走行するバイクのウィリーを車のおもちゃで再現したり、片側の車輪だけの走行、オフロードやサーキット走法、そしてあり得ない車逆さま走行など色々な方法で気持ちの切り替えを行いました。またおもちゃで遊んでいる時に子供が上手くできないと感情を乱すと、遊んでいたおもちゃが突然喋り出し「こうしてよ。するとできるよ」「私はこうしてほしいの」などとおもちゃになりきって方向性を示してあげると、気持ちの乱れが遊びに転換し上手くコントロールする事ができました。生徒さんの中には親も生徒さんと同じように失敗するとニコッと笑顔になる子もいましたし、親の手本で「ふっ」と力が抜けて自ら8つ走の翼を広げてもう一度チャレンジする子もいました。
2歳児はこのようにご家庭や親子の関わりや遊びで具体的方法が異なりますが、子供がその遊びに乗ってきたら一緒に大笑いし、さらに遊びの幅を広げるようにしましょう。すると自然に感情を切り替えることができます。
3歳の場合(物語で感情を扱えるようにする)
3歳は言葉と理解力が伸びるので感情を遊びに変換する力が育ち始める時期で、ストーリーや意味のある笑いが通じる年齢になり、上手く遊びを使うと自分で気持ちを立て直す練習ができます。例えば私はブロック遊びがうまくできずにしょげている場合には、大好きなヒーローになりきってブロックのレスキューに向かわせたり、機嫌が悪そうな場合にはぬいぐるみを子供と同じ立場や感情に立たせて「どうしたら解決しそうなのか」をオペレッタにし、最後はミュージカル仕立てにして歌を歌い解決させるなどで対応してきました。少し余裕がある場合には切り替えミッションと題してゲーム形式にして「静かにできたらクリア!」「10秒ニコニコチャレンジ!」など遊びにすると。3歳は親の提案に乗りやすい時期でもあります。
もうお分かりだと思いますが3歳は「感情を外に出して遊びで処理する」ことができる年齢です。「怒りや悶々とした感情を消す」のではなく、「それらの感情を扱えるようにする」練習を促していきます。つまり3歳は感情の暴走にブレーキを自分でかける練習を始める段階にあります。その練習を遊びでさせていくのです。
6、最大級のブレーキを効かせる方法
この最大級のブレーキパッドとは「大騒ぎからの静けさ」の連動したものをさします。脳にブレーキをかけるためには家の中で大はしゃぎ、大暴れ、大笑い、大騒ぎをした後に静かな環境をつくることで強化されます。4歳以降は「ルールのある笑い」「予想外のズレ遊び」「役割遊び」などがはまりやすくなり、大笑いになりやすい遊び意識して行います。この時期に脳と体の切り替えをしっかりと行う事が重要になり、その他に家庭内で大笑いになりやすいボードゲームを持ち込むことも重要なことだったと実感しています。この最大級のブレーキパッドを持たせることは、大はしゃぎや大笑いは活動モードの交感神経が強く働き、その後静かにすることでリラックスモードの副交感神経に切り替わるこの落差によって、「あー、楽しかった。今は落ち着く時間だ」と脳が認識しやすくなるよう連動させる働きかけです。表現を変えると「興奮した状態」にブレーキをかける働きの練習です。このブレーキをかける働きを繰り返していくうちに、自ら興奮した状態にブレーキをかける方法を学習することで落ち着きを取り戻すことが容易になります。好奇心の塊で行動する子供には必要不可欠なことだ実感しています。つまり感情が抑えられなくなってもこれを繰り返すうちに、今は何をすべきなのか、落ち着かなければならない時、学ぶことに集中する時、就寝する時間だと自ら理解できるようになってきます。我が家ではお腹を抱えて大笑いしたり、遊びが弾けてしまった時などは和室に移動して大の字になり畳の香りを嗅ぎながら目を閉じるということを行っていました。
しかし残念ながら全ての人に用いることはできません。この方法は一度アクセルを踏んで、その後に減速する方法であるため興奮状態が続く場合やキレやすい人の場合には「アクセルを踏みすぎて戻らない」ことも多く、「静かにする」ことが上手くいかない事があります。特にADHD傾向のある場合は子供も大人も不向きな場合があるので注意が必要となります。
0コメント