偉人『ニコラ・テスラ 』
Nikola Tesla(ニコラ・テスラ)の凄さは、単に発明の数が多かったことではなく、「みんなが当たり前だと思っている前提を疑う力」が非常に強かったことにある。
例えば19世紀後半、多くの技術者は「電気は直流が主流だ」と考えていた。しかしテスラは、「そもそも、なぜ電気を一方向に流す必要があるのか?」と考えた。もしテスラがいなければ交流システムは生まれなかったと断言するのはなんがある。なぜなら交流の研究自体はテスラ以前から行われており、イタリアの物理学者ガリレオ・フェッラーリスやフランスの電気技師ガリレオ・フェッラーリスらも交流技術の発展に貢献したからだ。それでもテスラがいなかった羅と考えると、交流送電の実用化はかなり遅れたであろう。もしかするとエアコン、冷蔵庫、洗濯機、扇風機、掃除機などの普及が遅れ今のような快適な生活は送れていなかったであろうし、一方で地球温暖化も深刻ではなかったかもしれぬ。快適さを最大化した人間のエゴの結果が、地球温暖化という副作用を生み出した・・・大変悩ましい問題である。
それでは今回はテスラという人物がどのような発想法で交流システムを思いついたのか、大変興味深いところから紐解いていこう。
1、頭の中で実験する
先述したとおりテスラは多くの人が前提として受け入れていたことを疑う力があったことは要因として十分あったと考えているが、それ以上に幼少期にスポットを当ててみると、幼少期から強い想像力を持っていた事が十分考えられる。例えばテスラは幼い頃から大量に本を読んでいたことがわかっているが、それと同時に記憶力が非常に高く、映像的なイメージを思い浮かべるという特徴があったといわれている。幼少期に知識を多く身につけそれを駆使してイメージ力に働きかけるということを常に行なっていれば、思考したことを頭の中で想像し組み立てることは大変な強みである。実はこれまでにステラと似たような生徒と出会った事があるが、彼はなんでも半分に切って中を確かめるということに夢中になっていた。そんなある日大好きなミニカーを半分にした愛と言い出して母親を悩ませていたが、ある自動車メーカーのカタログの断面図に夢中になりレッスンの度にカタログを大事そうに抱えていた。そんな彼は図形力にも秀でており今では工学系の大学に通っている。子供の頃にやはり想像する力を働かせるということはある意味人生の方向性も左右するのではないだろうか。
さてステラは普通の発明家が試作品を作るところ、まず頭の中で完成品を作った。つまりテスラはアイデアを得たら、まず想像の中で組み立て、改良し、動かしてみるという方法を取っていたのである。そして幼少期に鍛えた他の人が「見えない」ところまで頭の中で想像し組み立てるという力を駆使していたことがテスラ独特の発想力である。もう一歩踏み込んで考えるとすると、おそらく既成概念を疑うテスラであるから「作る前に壊してみる」「改善してみる」「欠陥を探す」というシミュレーションも脳内で行っていたかもしれない。
2、常識より「原理」を見る
テスラの残した言葉に「多くの人は細部に飛びつき、中心となるアイデアを見失う」がある。この発言はテスラの考え方を理解するうえでとても重要なポイントだ。テスラが言いたかったことは、「多くの人は『どう作るか』ばかり考え、『何を実現したいのか』を考えなくなる」ということだ。例えば、18世紀の人々が使用していた馬車を速く走らせるためにどうすべきかを考えた時、テスラのいう細部に飛びつく人は、馬を強くする、馬車を軽くする、車輪を改良するなどと考えたが、テスラのいう中心のアイデアを考える人は、「人が速く移動すること」考え、そもそも馬が必要なのか?」と考え、自動車という発想にたどり着いたかもしれない。また私の立場でいうと、子供の困ったことを直そうと必死に親があれやこれやと考え、子供に行動を強いるのが細部に結びつく人々であり、中心のアイディアを見る親はまず子供に親が楽しんでいるところを見せ、できないことや困っている姿を曝け出して克服することの大切さを見せ教える。テスラの考え方や言葉を借りると、本当の教育が見え教育の真髄を理解する事ができる。常識に囚われすぎると本来大切にすべきことを見落としてしまう。このテスラの常識より「原理」を見るということが、私たち親は心していなければならないことでハニだろうか。
せっかくなのでテスラとエジソンとの比較もしてみよう。世の中で偉人と言えば真っ先に挙げられることが多いエジソン であるが、実は19世紀末の電力技術をめぐるライバルとして電流戦争と呼ばれた。テスラはアメリカに渡りエジソンの会社で働いたが、エジソンは優れた発明家・事業家で、テスラは卓越した発明家・理論家。二人は異なる技術的・事業的アプローチを持っていたため対立したと言われているが、現在の家庭や産業で使われる送電網の多くは、テスラが推進した交流方式を基礎とし、一方でエジソンが拘った電子機器やバッテリー、データセンターなどでは現在直流も広く使われており、現代社会では両方の技術が重要な役割を果たしているのだ。蓋を開けてみると両方必要であった。映画や世間的には「エジソン=悪役、テスラ=天才被害者」のように描かれることがあるが、実際はもっと複雑なのである。このことについても子供の教育に関して面白い見方ができるので機会があれば掘り下げたいものである。
3、問題から離れて考える
テスラはずっと机に向かうタイプではなかったと言われている。何か課題があると、数か月から数年かけて頭の片隅で温め、散歩や別の作業をしながら考え続けた。この行動については「インキュベーション(無意識下での問題解決)」という言葉で語られる事が多い。インキュベーションとは問題について意識的に考えるのを一旦止めている間に、脳が無意識のうちに情報を整理し、新しいアイデアや解決策を生み出す現象を指すわけだが、実はテスラは自然にこの力を活用していたわけである。テスラは非常に強い視覚的イメージ能力を持っていたとされ、テスラ自身子供の頃その能力が非常に鮮明な心像(頭の中の映像)を見ていたと記している。例えば、人の話を聞くと関連する映像が突然浮かんできたり、本で読んだ場所を実際に見たかのように想像できることもあり、発明品を頭の中で立体的に回転させられるといった経験をしたようである。幼い頃はこの能力に悩まされたこともあったというが、成長するにつれて意識的に利用するようになったと言われている。実は私の中でも彼と同じような能力を発揮している数名の生徒がいる。彼らに共通していることは幼い頃から想像力を鍛える遊びをしていることだ。特に外遊びをし自然と関わりを持つ経験をしているだけではなく、思考と結びつけて仕組みを考えるなどを実践している子供に現れやすい能力である。テスラは幼い頃から機械や自然現象に強い興味を持っており、水車を自作したり、昆虫や風、水の動きを観察し、身の回りの仕組みを考えることを頻繁に行なったと言われている。その影響が実は母親のジュカ・テスラから影響を受けている。テスラの母親ジュカ母親は正式な教育を受けていないものの家事を効率化する道具を自作したり、手先が器用で発明好きだったとされ、テスラ自身が「発明の才能は母から受け継いだ」と何度も語っている。つまり母の発明好きとその実践を目にすることで彼は多くを学んだことは確かである。
またテスラは幼少期から並外れた記憶力を持っていたと言われているが、詩や文章を大量に暗記し、複雑な内容を頭の中で保持できたため、紙に頼らず思考を進めやすかったのかもしれない。テスラはおそらく非常に強い視覚化能力や優れた作業記憶、高い集中力、強い好奇心を併せ持っていた人物だったと考えられているが、幼少期の経験だけで天才になったというよりは、生まれ持った認知特性と幼い頃からの興味・学習環境が組み合わさって、あの独特の発明スタイルが形成されたと考えるのが自然かもしれない。しかし私のような凡人でもどんなに考えを巡らしても結論に至らないまま休むと、不思議なことに突如として解決策を見つけたり閃く事がある。特にこの偉人記事を書く時にはなんとなく柱立てをしていてもまとまらない時には、自分自身の記憶から消し去ってしまうがふとした時に閃いてパソコンに向かうと、何日も時には何ヶ月も放置した事が嘘のように15分足らずで仕上げてしまう事がある。記事内容の良し悪しは別としてインキュベーション(無意識下での問題解決)を行なっていたのだろう。そんな時はテスラ様の足元に近づけたのではないかと甚だしい誤解に陥るのだが、子供達にとって重要なことは、難しい問題に取り組むことやにっちもさっちも行かないという行き詰まる経験をさせるべきだと考える。脳は表面的には別のことをしていても、完全に問題を忘れているわけではなく、関連する記憶や知識のネットワークを裏で処理し続けていると考えられていらしい。日々易しく簡単なことばかりを子供に課してもインキュベーションは育たないからだ。私のこれまでに出会った人々の中で逆立ちしても敵わないという人はおそらくこのような経験をしているはずである。是非ともこれからの時代を生き抜く子供達には、このインキュベーションを経験して欲しいものである。
まとめに入ろう。テスラは「みんなが当たり前だと思っている前提を疑う力」が非常に強かったと冒頭で述べたが、実はギフト的な才能も持ちつつ、家庭環境特に母との関係性が深く影響していた。私たち親は子供達に課題を習得させることに必死になり、すぐに解決したり答えが出せるものに目が向きがちであるが、実は子供の脳を強く優れたものにするためにはすぐに答えの出ない解決方法が見つからない課題を与えることが必要であるとテスラの人生から紐解く事ができる。これまで月曜の提案記事で記した4つの発想力の要素である『視点を変える力』『組み合わせる力』、『広げる力』、『疑う力』全てを駆使したニコラ・テスラのような力を子供達が1つでも多く獲得できることを心から願っている。
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