提案『基礎概念の具体例 No.2』
前回の提案『基礎概念とは No.1』(記事はこちら)で記したとおり、基礎概念とは知識を積み上げるための「土台」であると同時に、その分野でバラバラの知識を繋げて応用するための「骨組み」、或いは知識と知識を繋ぐ接着剤のようなものであると記しました。今回は主な基礎概念について、「どのようなものがあるのか」を項目一覧として記し、来週以降に代表的な内容を順次解説してまいります。
1.自分について
基礎概念というと学習に関するものとして、この「自分について』は含まれないように考えがちですが、乳児期から必ず促すべき基礎概念がこの『自分について』です。自分自身を知り、自分と他人の違いを理解し、自分の気持ちだけではなく他の人にもその人の考えや気持ちがあることを知り、また自分自身の身体を大切にすることを学ぶ内容です。
具体的なことでいうと、名前・年齢・身体の部位の「頭」「手」「足」「おなか」など身体の部位の名前を知り、自分の身体について言葉で伝えられるようにします。また「好き・嫌い」「できる・できない」「これは難しい」などと自分の意思や得意・苦手を言葉で伝えることもできるようにします。また感情には「嬉しい」「楽しい」「恥ずかしい」「悲しい」「怖い」「怒っている」「困っている」など自分の気持ちには名前があり、その感情の言葉を使って。「今、私は悲しいの、だからそっとしておいて」「怖いから助けてほしい」など感情を言葉で表現できるようにする必要があります。つまり「私は私であり、自分の気持ちや身体を大切にしてよい。そして、嫌なことや困ったことがあったら、自分の言葉で伝えたり、人に助けを求めたりしてよい」という基礎的な自己理解・自己擁護を身につけることを目指しています。
2. 数・量
まず数に関するこの基礎概念は算数の基本となり、数学の学びだけではなく、日常生活においても必要でかなり重要な基本的学びです。1、2、3・・・もとのを数えるだけでなく、物事を比べたり、順番に並べたり、「なぜそうなるのか」を考えたりする力を育てることに必要な数の基礎概念です。1、2、3……という数の他に、量を示す多い・少ない、物の大きさを示す大きい・小さい、長い・短い、重い・軽い、同じ・違う、その他に順番・分類などがこの項目の学びです。この数ように関する内容は多くの方法があるため次回の記事以降で取り上げることはしませんが、算数や数学に必要不可欠な基礎概念については順次アナウンスしてまいります。
3.数と量の論理(問題を分解して考える)
数や言葉を使って目の前の状況を整理し、自分で考えて行動する力を育てることが、この項目の重要な学びです。「問題を分解して考える」は、大きくて難しそうな問題を小さな問題に分けて考える力です。例えば明日は週明け月曜日とします。学校へ持って行くものも普段とは多少異なります。新しい上履きや体育着、給食当番で使用したエプロンなど週明けだからこそ持っていかなければならないものをまず準備し、次に月曜日の時間割や宿題を確認し、そして制服の準備、習い事の準備と問題を分解して考え行動することによって、何をすれば良いのかを理解し準備することができます。このトレーニングをすると、「何をすればいいかわからない」ことが、「一つずつやればいい」という理解に繋げられ、やがて実行ができるようになります。
また「問題を見つける → 分ける → 順番を決める → 一つずつ解決する → 最後に確認する」と言う学びも行うことができます。わかりやすくいうと、例えばパズルをするなら「パズルを完成させる」という大きな問題を、先ず角のピースを探す → 同じ色を集める → 絵がつながりそうな場所を探す → 少しずつ組み合わせるという流れで問題解決の力を繋げることができます。その他に身につけるべき力は以下の通りである。
① 比べる
② 分ける
③ 並べる
④ 数える
⑤ 関係を考える(これをすると、こうなる)
⑥ 条件から判断する
⑦ 問題を分解する(難しいけれど、一つずつやればできる)
4.時間
子供に「時間」を教えるのは、時計を読めるようにすることだけが目的ではありません。「今どうなっているか」「次に何が起こるか」「どのくらい待つのか」「どのくらい時間をかけるのか」などを理解し、生活を見通して行動する力を育てるためです。その延長線上に時間的学びが入ることになります。
① 生活の見通しを持つため
② 現在・過去・未来
③ 朝・昼・夜
④ 昨日・今日・明日
⑤ 早い・遅い
⑥ 順序(最初→途中→最後)
⑦ 予定と期限
5.空間、位置
子どもに「空間・位置」を教えるのは、単に「前・後」「上・下」「左・右」という言葉を覚えさせるためではありません。自分と物の位置関係を理解し、周囲の状況を把握して、安全に行動したり、人の話を理解したり、言葉で表現できるようにするための基礎学習です。次回はこの空間と位置の基礎概念を開設予定です。かなり重要な内容になりますので、是非お読みください。
① 前・後
② 上・下
③左・右
④ 中(内)・外
⑤ 近い・遠い
⑥ 高い・低い
⑦ 地図や道順の基本
6. 言葉・コミュニケーション
基礎概念としての「言葉・コミュニケーション」は、「言葉を覚える」だけではなく、言葉を使って人と理解し合い、自分で考え、必要なときに質問や助けを求められるようにすることが目的です。
① 物には名前がある
② 言葉を理解する
③ 言葉で質問できる
④ 相手の話を聞く
⑤ 自分の気持ちや考えを説明する
⑥ 分からないことを質問する
⑦「なぜ?」と質問し、理由を尋ねる
⑧ 同じ言葉でも文脈によって意味が変わる
⑨ 状況に合わせて言葉の意味を考える
⑩ 事実とj自分の意見や考えを区別する
7. 人間関係
「基礎概念における人間関係は、単に「仲良くする方法」を教えるものではなく、自分と相手は違う人間だと理解し、お互いを尊重しながら、人と一緒に生活したり問題を解決したりする力を育てるものです。それぞれを具体的にすると、次のようなことが挙げられます。
① 相手にも自分とは違う考えや感情がある
② 相手を尊重する
③ 順番を待つ
④ 約束を守る
⑤ お礼・謝罪・お願いことを適切に伝える
⑥ 一緒に活動し協力する
⑦ お互いの境界線を尊重し守る
⑧ 喧嘩や意見の違いを話し合って解決する
8. 社会の仕組み
基礎概念の社会の仕組みは、子供が成長して社会の中で生活していくために、「自分一人だけで社会が成り立っているのではなく、いろいろな人が役割を持ち、ルールを守りながら一緒に生活している」ことを理解するための学習です。それぞれの具体的項目は以下になります。
① 家族・学校・地域などの役割
② ルールがなぜ存在するのか
③ 権利と責任
④ お金と交換
⑤ 働くこと
⑥ 公共の場所では他人も利用する
⑦ 社会にはいろいろな価値観や文化がある
9. 自然・科学
基礎概念の自然・科学は、難しい科学知識を暗記することが目的ではなく、身の回りの自然や現象に気づき、「なぜ?」「どうして?」「どうなる?」と考え、実際に確かめる力を育てることが中心です。科学の知識をたくさん覚えることよりも、「身の回りをよく観察し、疑問を持ち、自分で考え、実際に確かめる」という科学的な考え方の土台を作ることになります。
① 生き物と無生物
② 植物・動物・人間
③ 食べ物と栄養
④ 水・空気・土
⑤ 天気と季節
⑥ 昼と夜
⑦ 重力・光・音・熱などの基本的な現象
⑧ 「観察 → 予想 → 試す → 結果を見る」という考え方
10.健康・安全
単に「危ないことをしない」と教えるだけではなく、自分の身体を大切にし、危険を予測して避け、困ったときや異常があるときに適切に助けを求める力を育てる基礎概念です。これまでの「自分について」「人間関係」「社会の仕組み」とも繋がり、最終的には、「自分の身を自分で守るために、気づく・考える・行動する・助けを求める」**という生活の基礎になります。
① 手洗い・歯磨き・睡眠・食事
② 危険な場所・物を知る
③ 交通安全
④ 火・電気・水などの危険
⑤ 知らない人との接し方
⑥ インターネット上で個人情報を守る
⑦ 身体に異変があったら大人に伝える
11. お金・生活
基礎概念のお金・生活は、お金を使って生活するときに知っておきたい、ごく基本的な仕組みをまとめたものです。限られたお金を、必要なもの・欲しいもの・将来のための貯蓄などにどう配分するかを考えるための基本知識です。また算数にも結びつく内容なので、昨今実際に効果や札を使用することがないため、この力は確実に育っていないと実感しています。是非買い物などでお金を精算する経験を持たせてあげてください。
① お金には限りがある
② 欲しいものと必要なものは違う
③ 買うとお金が減る
④ 貯めるという選択肢
⑤ 借りる・返す
⑥ 商品には価格がある
⑦ 仕事と収入の基本的な関係
12. 考える力
特に重要なのがここです。単に頭がいい・知識が多いという意味ではなく、ここでいう「考える力」は、目の前の情報をそのまま信じるのではなく、自分で確かめ、考え、必要なら考えを変える力のことです。特に重要なのは、「自分の考えも間違っているかもしれない」と考えられることです。
①「本当にそうなの?」
②「どうしてそう思うの?」
③「他の可能性は?」
④「証拠はある?」
⑤「知らないことを知らないと言う」
⑥ 間違いを修正する
⑦ 一つの答えだけでなく複数の方法を考える
⑧ 感情と事実を区別する
⑨ 他人の意見を聞いて、自分の考えを更新する
13.「学び方」そのもの
「基礎概念の『学び方』そのもの」は、知識をたくさん覚えることよりも、「自分で学び続ける方法」を身につけることが大切という意味で、前項目の「12.考える力」とも繋がっています。最終的には、個々の知識以上に、疑問を持つ → 調べる → 試す → 失敗する → 考える → 説明する → 修正するという循環を身につけ、生きていく力をつけさせることが大切です。
①「疑問を持つ」
②「調べる」
③「試す」
④「失敗する」
⑤「考える」
⑥「説明する」
⑦修正する」
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