『SDGs11項目 住み続けられるまちを No.11』
SDGsの目標11項目「住み続けられるまちづくりを」とは、子供や高齢者、障がいのある人など全ての人が安心・安全で暮らし続け、環境にも配慮しながら住みやすいまちをつくって行こということを目標にした取り組みです。この目標を子供達が学ぶ意味は、単にSDGsの知識を身につけることではなく、「自分たちが暮らすまちを、どんな場所にしたいか」を自分ごととして考える力を育てることです。しかし以下の内容を幼児や低学年の子供達が学ぶには少し難しいといえます。
1、安全で安く住める住宅を増やす
2、公共交通機関を充実させ、移動しやすくする
3、 公園や緑地を増やし、快適な環境をつくる
4、高齢者や障がいのある人も暮らしやすいまちにする
5、 地震・台風・洪水などの災害に強いまちをつくる
6、 大気汚染やごみ問題を減らし、環境を守る
7、 地域の文化や歴史的な建物を守る
子供達にとってこれらの目標を理解し学ぶには、内容を細分化しなければ理解することは難しいものです。ということでここからは子供達に理解をしてもらうための道筋を提案してまいります。
1、身近な生活と社会の繋がりに気付ける
ごみ、交通、公園、防災、高齢者や障害のある人への配慮など、まちの課題は子どもの生活にも関係しています。子供にとって「社会の問題」というと、地球温暖化や貧困、戦争など、自分から遠い大きな問題に感じられることがありますが、SDGs11項目『住み続けられるまちづくりを』は、毎日の生活そのものと繋がっているのが特徴です。
① ごみから「まちの環境」を考える
ゴミ問題といえば「ゴミを減らそう」というスローガンを掲げる取り組みを思い浮かべますが、子供はゴミを減らすことを考えるよりも、「なぜだろう?」と疑問を持つことや関心・興味を抱かせることが理解を促すという点では効果的です。例えば、家庭や学校で1日に出るゴミを調べ、どのくらいゴミが出るのか、家庭や教室ではそれぞれどのようなゴミが多いか、またペットボトルやプラスチックはどのくらいあるのか、そのゴミはどこへ行くのかなど実際に数えたり種類ごとに分けたりすると、子供は「こんなにゴミが出ているんだ」と実感できます。身近な家や学校でのゴミなどについて学ぶと、自然に学校の通学路や公園にゴミが落ちていることに気がつき始めます。そこから、「なぜゴミが落ちているのだろう?」「ゴミを減らすにはどうしたらいい?」「ゴミを捨てる人だけの問題なのかな?」「ごみを回収する人はどんな仕事をしているのだろう?」と考えを広げることができるようになります。すると、自分の行動と地域の環境が繋がっていることに気づき、「ゴミを無闇に捨てない」「ゴミを減らそう」という個人の行動が、きれいなまちをつくることに繋がるんだと考えに至ることができるようになります。先ずは家の中のゴミ分類やその数を数えたり、ゴミ出しステーションへ足を運んで捨てること、道端や公園など身近な場所のゴミがどのくらいあるのかみて回ることも理解を促すには必要です。
② 交通かの観点から「誰にとっても暮らしやすいまち」を考える
子供達にとってまち作りと交通との関係性をピンと来ているこは多くはないでしょう。特にドア・ツー・ドアで移動することが多い場合は、自らの足で毎日通園・通学する場合に比べて交通とは何かということへの理解不足は否めません。例えば歩道が狭い、車が多くて怖い、信号が少ない、歩道を走る自転車が怖い危ないと感じることも無いに等しいでしょう。自分自身が歩きやすいかそうでないかさえわからないかもしれません。交通の観点から誰にとっても暮らしやすいまちを考えるのであれば、経験をさせなければなりません。交通を通してまち作りを考えることは、「自分が歩きやすいか」だけではなく、「小さな子供だったら?」「高齢者だったら?」「車いすを使う人だったら?」「目が不自由な人だったら?」と視点を広げて考えさせる必要があります。また人がどう動くと、みんなが暮らしやすいまちになるのかも考えさせるのと分かりやすいでしょう。
まずは「まちには誰が暮らしているのか?」から考えさせましょう。その手始めとして「このまちには、どんな人がいるかな?」という質問を行うと、子供達は考えることができます。学校へ歩いて行く子供、自転車やオートバイにに乗る人、車に乗る人、バスやモノレールや電車を使う人、ベビーカーを押す人、お年寄り、荷物を運ぶ人、救急車や消防車、ゴミ収集車など日頃目にしていることを言葉にすると思います。ここで大切なのは、「車のためのまち」ではなく、「人が生活するためのまち」という視点を持たせることです。
日本の小学校の3年生の社会科では、「自分たちの住んでいる地域(まち)」を本格的に学び、さらに4年生では「地域の安全や消防・警察、災など「暮らしを支える仕組み」へ学びが広がっていき、このSDGs11項目はしっかりと学習へ導かれることになっています。できれば幼児期から遊びの中で「わたしたちのまち」や「地域の人々の仕事・暮らし」などを題材に、学校の周りの様子、道路や鉄道などの交通、公共施設、商店や工場、地域の人々の仕事、地図を使った地域の調べ方などを時間を設けて少しずつ積み上げていくことをお勧めします。「交通の観点からまちづくりを考える」ということを幼児期で、もしくは小学校低学年の間に行なっておけば、学習への下地作りが遊びながら行えます。レゴブロックなどを使用して学校・家・公園・病院・駅・お店などを配置し、そこからまちに道を作り、どうやってみんなが移動するかを考えさせて、まち作りと交通を考えた遊びに繋げてほしいと考えます。レゴなどがない場合には画用紙に絵を描いて行う方法もありますが、できれば実体験として自分の住んでいるまちを実際に歩いて、危ないところ、便利なところ、もっと良くしたいところを探しておくことと自分の住むまちの中が見えてくるはずです。実体験を踏まえた上で遊びで作ったまちの改善点に活かすこともでき、このような視点を深掘りすると「自分にとってのまち」から「みんなにとって暮らしやすいまちとはどのようなことか」へと考え方が広がっていくはずです。
③ 公園から「公共の場所」を考える
公園は子供にとって非常に身近な場所です。だからこそ公園という場の公共性を教えなくてはなりません。公園を「公共の場所」として子供に何を伝え、何を学ばせるかはSDGs11項目の学びのためだけではありません。他人を思いやるという人間として最も重要なことが含まれています。つまり我々親は公共の場というと、「ルールを守りなさい」と教えることに意識が向きがちですが、実はもう1つ重要なことを子供達に教えなくてはなりません。それが「自分以外にも使う人がいる場所」であるということです。ときにはその公園や公共的場所がその人の心と深く関係している大切な場所であることもあるのですから。
先日私が子供だった頃に訪れていた場所に立ち寄ってみました。懐かしさに心躍らせ訪れてみると、東南アジア系の外国の方が数人椅子に腰掛け談笑し、暫く経つと彼らが飲んでいたペットボトルや空き缶をそのままに立ち去っていたのです。子供の頃に野花を積んで遊んでいた場所が汚されていることに大変がっかりさせられましたが、その場所には沖縄独特の文化である拝所がある場所でもあります。海外の方にとってはそのような文化もわからないでしょうし、幼い頃からゴミを持ち帰るという文化がない国があることも承知はしていますが、大変残念でなりません。だからこそです。我が国の子供の教育には公共性の場所での立ち居振る舞いをしっかりと教える必要があると考えます。文部科学省も公共施設については、実際に利用する体験を通して「自分以外の人のことを考えて行動する」ことを学ぶことが重要だとしています。よって公園で遊ぶのは楽しいと思い感じるだけで帰宅の途につくのは勿体ないことです。子供と公園で遊び休憩をするときにでも、「この公園は誰のもの?」「どんな人が公園に来るかな?」「みんなが気持ちよく使うにはどうしたらいい?」「自分がされて嫌なことは何?」「ルールがなかったらどうなる?」など声をかけてみましょう。
公園は「自分だけのものではなく、みんなで使う場所」、そして子供、高齢者、保護者、散歩する人、体を鍛えている人、犬を散歩させる人などいることや公園の遊具で遊ぶ場合には順番を守る、思いやりを持って遊ぶ、大声を出しすぎない、ごみを捨てない、遊具を大切にするなど考えさせること、そしてルールは「禁止するため」ではなく、「みんなが安全・快適に使うため」にあることに気づかせる必要があります。実際に文科省の小学校道徳の教材でも、公園を「子どもだけでなく、幼い子どもや保護者、高齢者など、いろいろな人が利用する場所」と捉えさせる活動が紹介されており、「自分と違う人たちと一緒に使う小さな社会」として捉えさせるのがポイントです。まずは公園にて周りを観察させ、人の遊び方や行動の仕方、自分たちの遊び方を考えさせ、実際に「お先にどうぞ」と順番を譲る、ごみを拾う、小さい子に場所を譲る、遊具を丁寧に使うなど実際の行動に繋げてみましょう。そして子供に考えさせることをした後には、必ず振り返りを行うことをお勧めします。「今日、公園で自分が誰かのためにしたことは何?」「誰かが自分のためにしてくれたことは?」「次に公園を使うとき、何をしてみたい?」と振り返ることで、単なる「公園のルール学習」から、公共心・思いやり・社会性の学習へ発展させることができます。これもSDGs11項目を学ぶ大きな意味の一つです。
2、地域を大切にする気持ちが育つ
地域の自然や文化、歴史、人との繋がりに目を向けることで、「自分たちのまちは自分たちで良くしていく」という意識に繋がることは明らかです。そこに防災など命を守るということに意識を向けると、「自他ともに」という考え方が見えてくるようになります。
① 防災から「自分と地域は繋がっている」と考える
防災を考えさせることは幼児期には難しい面があります。特に地震などを子供に伝えることは恐怖を掻き立ててしまうことがあるため、地震などは小学校3年生以降が望ましいといえます。まずは沖縄に多く被害をもたらす台風について考えさせましょう。子供には「台風が来ても、みんなの命と暮らしを守れるまちをどう作るか」という話を進めます。特に大切なのは、身の安全を確保することを教えることですが、今回はSDGs11項目に関することに絞った内容にし、台風を単なる「自然災害」として見るのではなく、まちの作り方によって被害が大きくなったり、小さくなったりすると考えさせていきます。
まず台風による大雨によって川が増水したり、道路が冠水したりすることを理解しておく必要があります。まちを守るために川や水路を整備したり、雨水を一時的にためる場所や排水設備を作る、浸水しやすい場所に住宅を集中させないといった工夫を考えさせることも必要になるでしょう。昨今問題になっているのがアンダーパスをはじめとした道路の冠水です。台風で道路が冠水すると、車が通れないことが起こり救急車や消防車が来られないという状況が起こりうるだけでなく、自らの命をも危険に晒すことになります。よって「交通からまちづくりを考える」ことや避難指示が必要になる人々のために避難所をどこに作るかという考えも必要になります。そして現実的な問題として、万一避難指示が出たらどこに避難するべきかも知っておく必要もあるでしょう。自宅付近の避難所までは、歩きやすい道なのか、安全な道路なのか、地域の人の助けなどを要するのかなどについても考えておく必要があります。「台風に強いまちって、どんなまちだろう?」「誰もが安全に逃げられて、困っている人を助けられるまち作り」を考えさせると防災・交通・福祉・まちづくりが一つに繋げられるでしょう。子供達に深く理解を求めておきたいことは、「災害が起きたら、自分の生活と地域はどう繋がっているか」を気づかせることにあります。
3、「みんなにとって住みやすいまち」を考える
SDGsの目標11項目を学ぶことは自分にとって便利なまちを知るだけでなく、子供、高齢者、障害のある人、外国人など、さまざまな立場の人の視点を持つきっかけになり、かなり深い視点でまちを見つめ直す機会が生まれます。自分のことだけを考えがちな子供に、他者の存在を知ることになり、その視野を広げておくことは、必ず子供の成長に良い影響を及ぼすきっかけになります。
① 高齢者や障害のある人への配慮から「まちの見え方を変える」
高齢者や障害のある人への配慮から『まちの見え方』を変える」というのは、単に「困っている人に優しくしましょう。親切にしましょう。助けましょう」と教えることではありません。同じまちに住んでいても立場が変わると見える問題がまったく違うことに気づかせることを指しています。例えば、同じ場所へ行くにしても健常な子供から見ると、単純に歩いて行ける場所かもしれませんが、高齢者にとってはベンチがなくて途中で休めない、車椅子の人から見ると急な坂道や歩道に段差があって通れない、視覚障害のある人から見ると点字ブロックの上に自転車や荷物が置かれている、ベビーカーを押す人から見ると歩道が狭くて通りにくいなどの問題があるかもしれません。つまり同じまちでありながら、そこを利用する人によって見えているものが違い、問題があることに気づくことができ、子供にとって大変興味深い学びになります。これこそが重要なことなのです。すると、自分の視点から他の人の視点を想像し、今まで見えなかったまちの課題を発見し、まちの作り方を考えることができます。この学びはかなり本質的なまち作り教育で防災とも繋がるものです。さらに先述した「台風」と組み合わせると、とても強いテーマになり、「台風が来たとき、このまちで一番逃げにくい人は誰だろう?」と考えに至ることができるようになります。そして、「自分が逃げられるまち」から「みんなが逃げられるまち」へ視点が変わります。私は、この「自分が見ているまち」と「誰かから見たまち」の違いを体験させることが、子供達に「自分と地域は繋がっている」と理解してもらうとても良い方法だと思います。また実際にまちを歩く体験をさせると普段は気づかない問題にも気づくことができるでしょう。「自分にとって問題がない=誰にとっても問題がない」わけではないと気づくことができます。これは子供が他者の立場から社会を見る力を育てることに繋がります。教育的立場で考えると単にごみを捨てたりしないようにすることや立場の違う人に優しくしなさいだけではなく、むしろ「自分の身の回りには、どんな課題があるのだろう?」「なぜ、その課題が起きているのだろう?」「自分以外の人はどう感じているのだろう?」「みんなにとってより良いまちにするには、どうすればいいだろう?」という思考させることが重要であるのです。つまり、SDGs11項目の学習を通して子供は「自分の生活」と「社会」は別々のものではなく、自分たちの生活も社会の一部であり、自分たちの行動がまちを作っているということに気づいていきます。この気づきの経験をさせるか否かで思考の深さも変化していきます。
4、課題を発見し、解決する力を育てられる
「なぜこの場所にはごみが多いのか」「なぜ歩きにくい道があるのか」「自他共に安全に過ごすことのできるまちとは何か」など、身近な疑問から調査し、改善方法を考える学習ができるようになるのが、このSDGs11項目の学習です。この学びを通して、子供達が身近な地域の環境や施設、交通、防災などに目を向け、自分の生活と地域社会との繋がりに気づくことができ、また自分とは異なる立場の人々の視点から地域を見つめ直すことで、『誰にとっても住みやすいまちとはどのようなまちか』を考えるきっかけとなり、問題点や課題に気付き、どうすれば自分のまちが良くなるのかを考える力を身につけることができるはずです。しっかりと考えることを繰り返すことで多くのことが見え始め、解決能力も高くなります。先ずは問題を見つけ、少し考えることから始め、その経験を積んで解決する力を獲得していきましょう。
5、将来の社会の担い手としての意識につながる
子供達は将来、その地域や社会を作っていく存在です。SDGs11項目を学ぶことで、社会の一員として考え、行動する基礎をつくれます。「自分たちの暮らすまちを見つめ、さまざまな人の立場を考えながら、より良いまちを自分たちで作っていこうとする力を育てると、将来の社会の担い手を育てることになります。子供自身がこれらを考えることで、様々なSDGsを「遠い世界の話」ではなく、自分の生活に関係する問題として捉えやすくなります。先日の中国チベット自治区とネパール国境付近で起きた土石流・鉄砲水による大規模な災害のように国を跨り同時に起こる災害はもはや一国だけの問題ではなく、地球規模で考えなければならないことを強く感じた災害で、多くの人命が奪われているのは大国の中国やアメリカ・インドも見て見ぬ振りはできないことをどこまで理解しているのかと考えててしまいます。方や日本に目を移すと、これまでにない線状降水帯や台風の影響を受ける範囲も広がっています。またこれまでみかん畑で収入を受けていた農家が気温上昇などの影響を受けてみかんからアボカド栽培に切り替えた新聞記事も見ました。これまで育てていたの農作物が収穫できない状況も生まれています。将来を担う子供達に現状を変えられない大人ができることといえば、自らの生活の中に取り入れられることを行動でしまし、SDGsをしっかりと伝え教育することではないでしょうか。
提案『SDGs15項 陸の豊かさを守ろうNo.10』(記事はこちら)
提案『SDGs5項 ジェンダー平等を実現しよう No.9』(記事はこちら)
提案『SDGs4項目 質の高い教育をみんなに No.8』(記事はこちら)
提案『SDGs4項目 質の高い教育をみんなに No.7』(記事はこちら)
提案『SDGs10項目 人や国の不平等をなくそう No.6』(記事はこちら)
提案『SDGs12項 つくる責任つかう責任No.5』(記事はこちら)
提案『SDGs16項 平和の種を見つける No.4』(記事はこちら)
提案『SDGs2項 飢餓をゼロに No.3』(記事はこちら)
提案『SDGs1項貧困をなくそう No.2 』(記事はこちら)
提案『SDGsを考える No.1』(記事はこちら)
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