スナップ『原始反射統合の成功例No.3お絵描き編』

前回から原始反射の統合に成功し、良い結果が出ている生徒さんを取り上げています。今回は2歳の生徒さんのお絵描き様子を取り上げ解説してまいります。

さてお絵描きと原始反射への働きかけが関係するのか???と疑問をお持ちの方もおられるでしょう。しかし原始反射への働きかけは想像以上に多くの能力を獲得するチャンスを生み出します。例えば今回取り上げるお絵描きには、手のひらに触れると握る『把握反射』と 両手を使う・目と手を協調させる『非対称性緊張性頸反射』、そして姿勢・情緒的な安定との関連する『モロー反射』が関係しています。つまり原始反射が発達の中で統合され、その後に姿勢・視覚・手の運動などが発達していく過程がお絵描きの土台と間接的に繋がり、その状態で絵画情報を入れるとお絵描きが成長していくのです。


それでは生徒さんの絵と共に原始反射をみていきましょう。

① 把握反射 → 「ものを持つ」→ クレヨンを持つ

お絵描きとの関連を考えると、特に分かりやすいのが手の発達です。乳児は最初、ものに触れるということから始まり、やがてものを握るという反射的な動きを繰り返します。このような時に絵を描いたとするならば以下の写真です。原始反射を実行している時にはこのような絵を描くことはできませんが、絵を描き始めた時には必ず原始反射とリンクした状態の表現が出てきます。


やがて自分で手を伸ばす → 物をつかむ という動きが出てくると少し力が出るようになり、描いた線も長く力強さも出てきます。

やがてクレヨンを握る手にも力が入ってくるため、点を打ち促していきます。

 

クレヨンを持ち替える → 指を使って操作するという随意的な運動へ発達していきます。と同時にシール貼りや紙破りをさせて指を使う動きを促すと絵にも動きの変化が出てきます。

ここから『非対称性緊張性頸反射』(ATNR)についてしすします。『非対称性緊張性頸反射』をお絵描きと関連を付けて考えるのは大変興味深い反射といえます。この『非対称性緊張性頸反射』は例えば頭を右に向けたときに右側の腕が伸びやく、左に頭を向けたら左腕が伸びるという特徴があります。発達が進むにつれこうした反射はやがて統合されて、反射的なパターンに頼らず、頭を安定させながら左右の手を別々に動かすことができるようになります。

この『非対称性緊張性頸反射』を統合させると、やがて片手で紙を押さえ、もう片方の手でクレヨンを上手に動かすことができ、また紙の向きを調整することができるようになり、両手を協調させて作業するといった動作の土台になります。

つまり、幼児のお絵描きで見られる「片手で紙を押さえて、反対の手で描く」という行動は、単純に手だけの能力ではなく、身体の左右を協調させる能力にも関係しているのです。

ではそうなるとどのような絵になるかを生徒さんの作品で見ていきましょう。『目と手の協応動作』が確りと出てくると、描くものの大きさが安定してきます。そしてこの絵からは夢中に連続して作品を描き続けると同時に、多色使用を楽しんでいる様子も伺えます。また下の作品では描いた丸を基準に両サイドにシンメトリーの線が出ていることも読み取れます。


そしてもう一つの反射である『モロー反射 』に話を移しましょう。

『モロー反射 』は姿勢・情緒的な安定との関連づく原始反射で、直接お絵描きの技術と結びつけることはできませんが、ただ乳児期には姿勢や筋緊張の発達とともに、身体を安定させながら手を自由に動かす能力を育てなくてはなりません。これまでの私の経験からすると、モロー反射を頻繁に起こすお子さんは、怖がりな一面が強く出る傾向があり、また中には医療者の診断を必要とする場合もあります。モロー反射で乳児がないて起きてしまうことが嫌で乳児の体を布でくるくると巻いてしまうお母様が一定数おられるのも承知していますが、大きな音や急な揺れなどで赤ちゃんが「びっくり」する刺激を受け、両腕をパッと広げその後腕を抱き込むように曲げるという一連の動きには意味があります。時折起こすくらいなら私はモロー反射を受け入れるべきと考えています。モロー反射は危険から身を守るために行われる反射という一面もあるため、体の使い方や姿勢という点では受け入れておかれた方が良いのではないかと考えます。このモロー反射をお絵描きに当てはめると、身体・肩・肘を安定させる ことができ、やがて手や指を自由に動かすことができるようになります。そのため幼児期のお絵描きを考えると、手先だけを見るのではなく、「身体の中心が安定しているか」という視点で見ることも重要なことなのです。体の使い方が安定してくると、以下の生徒さんの描いた作品のように一つの場所に集中して同じ形が描けるようになるのです。

原始反射を理解してお子さんのスケッチブックを見ると、似たような系統立ての絵が描かれていると3つの原始反射への働きかけが上手くいったと言えるでしょう。今回は3つの原始反射である『把握反射』『非対称性緊張性頸反射』『モロー反射』をお絵描きに当てはめて解説してまいりました。


スナップ『原始反射の賜物No.1鉄棒編』(記事はこちら)

スナップ『原始反射成功例No.2 ブランコ編』(記事はこちら)

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