偉人『ヨハネス・ブラームス』

あなたは外向的？それとも内向的？

今回は内向的人物を取上げて考えてみましょう。

ドイツの音楽家３Ｂのうちの一人ヨハネス・ブラームス。

彼について記されている人柄は内向的そのもの。頑固で強い意志があり、人付き合いが悪く、人見知りが激しいなど。しかしこの内向性が彼を３Ｂに成しえたと考えます。

父は貧しいコントラバス奏者。ブラームスは７歳でピアノを習い始め、10歳で舞台に上がり演奏をするも、家の貧しさから13歳でレストランや酒場で日銭を稼ぎ生計を立てています。それでもピアニストになる夢は捨てられず、時代の寵児であったリストに出会います。

しかしリストの外向的な一面と彼の取巻きに圧倒され、彼らと自分の間にある大きな隔たりを感じピアニストを諦めます。その直後に出会う内向的ロベルト・シューマンの古典的音楽や彼の所有する大量の楽譜を写譜する事で音楽の基礎を習得し、作曲者としての道を確固たるものにしました。

彼は自身の生い立ちや幼少期を語りたがらなかった言われています。

私お得意の勝手に想像だと、それは内向的な作用が働いてとも十分考えられますが、10代に酒場で働くことで人の裏表や罵詈雑言など醜い部分を見てきたのではないかと想像してしまいます。

古臭い、時代遅れと揶揄されても作曲に打ち込んだ強い意地は内向的特長であり、粘り強く打ち込んだ人生は天晴れとしか言いようがありません。

ここから専門的話をすると、外向的と内向的では脳の構造や遺伝子(DNA)が異なります。

外向的脳はドーパミンという神経伝達物質の反応の感受が低く、大量の刺激を必要とするため外界の刺激を求めます。よって積極的にコミュニケーションをとるのです。

一方、内向的脳は少しの外的刺激で満足する感度の良さがあり、静かに自分の時間を楽しみます。

また使用する神経も違います。外向的脳はアクセルの交感神経を使用し、リスクを取ってまでも行動します。一方内向的脳はアクセルの交感神経よりブレーキの副交感神経が優位ですから行動が慎重で冷静な判断を下します。

もうすでに生まれる前からこれらの根本的違いがあるので、それは変えようがなく受入れるしかありません。

しかし我が子が内向的であれば親としては外向的子が良く見えるものです。

明るく朗らかで積極性溢れる子であってほしいと願うのも親心です。でも先述した通りそもそも脳の構造や遺伝子が全く異なるわけです。変えようがありません。

またなぜ外向的が優れ、内向的が敬遠されるのかさえ甚だ疑問です。

しかし私の経験上、内向性を持つ子は働きかけにより外向的行動を取る機会を与えれば最強になります。ブラームスにはその外向的行動を取る術がなかったのです。だからピアニストを諦め作曲家に転身したのです。

ブラームスが７歳からわずか３年で演奏会に出たことを考慮すると、経済的に恵まれ、専門教育を受け、人前で演奏をし、エネルギーを蓄える状況があれば、外向的で音楽界を席巻したリストやワーグナーよりも華やかな表舞台で活躍をしていたでしょう。

しかしこの内向的な部分に他者からの比較や圧がかかると、嫉妬や妬み、嫉みを心に抱えさせてしまいます。すると心に歪みが生じ損な役回りを担う可能性があります。

ブラームス自身作曲をしていた時代に、対人関係に於いて外向性への反発と、内向性への共感が終生かわらなかったのは嫉妬ややるせなさが存在していたのだと考えます。

もう1つブラームスから学ぶことは、恩人シューマンの死後彼の妻を支えたこと。師の妻との関係を論ずるゴシップもありますが、内向的な人は愛情深い面があり、特定の人と深い信頼関係の構築や分析、思考力、冷静沈着、粘り強さなど優れたものを沢山有しています。

内向的なものがマイナスな捉え方の風潮がある中、私たち親はどっちが優れてるなんて天秤にかける必要はありません。それぞれをありのまま受入れ、修正したり次のステージに上がるための働きかけをし、その子らしい特性を活かせる育て方をすればいいのです。ただし、躾けはしっかりと。内向的子の導き方は大きく分けて４つの働きかけがありますが、それについては個別でのアナウンスをいたしますので声掛けをしてください。

ブラームスの人生を考えるとピアニストにはなれなかったものの、作曲家として彼が憧れ尊敬をしていたバッハやベートーヴェンと並び称されることは偉大だといえます。

ただ一人の人生を振り返ると、心穏やかな生き方ができれば生きやすかったのではないでしょうか。

彼の交響曲や協奏曲の重厚で厳格でこれぞクラシックという剛毅な調べと、118の小品にみる柔らかさの紡ぎを耳にする度に、子供達がそれぞれの場所で、それぞれの身の丈に合った生き方をしてくれる事を心から願います。