提案『寝た子を起すな』

何十年も人間として生きてくると不思議なことを経験したり、自分なりの行動を編み出したりするものです。例えば私はある課題や問題に取組むとき、どうしてもこれだという策が浮かばないと寝る直前にいくつかの方法を思い描き床に着きます。すると不思議なことに翌朝には解決の糸口が見つかることが多いので、就眠中の脳整理術としてこの方法をよく用います。

実は乳児も睡眠中に感覚刺激を整理するといわれています。

胎児の頃は光の刺激は無く薄暗く温かな羊水の中で心地良く過ごし、外界からの直接的音は聞こえず聞こえる音も柔らかなものです。

それが誕生直後から明るい陽の光や蛍光色の光の下で過ごし、音の刺激もダイレクトに聞こえ、予想だにしない視覚や聴覚刺激に驚いて泣いてしまうこともあります。

沖縄では寝ている子を移動させるとき、驚かさないように「ムシルビーチ」(寝床の布団を動かしますよ)と言いながらそっと動かす風習があります。

また寝ている乳児の枕元から顔を覗き込んで起すことの無いように、注意を払う習慣もありますが理に適っていると思います。ちょっとした物音に驚いたり、初めて見るものを怖がったり、怖い夢を見て泣く子の多くはこのような突然の出来事を経験しているように感じています。

乳児にとって誕生後は多くの刺激がありすぎるのです。しかしその刺激を得て発達成長していかなくてはなりません。乳児の睡眠は身体の急速と同時に脳への感覚刺激や体験を整理するために必要なことなのです。新生児は授乳以外は長い時間眠り、成長と共に刺激への対応力が付き睡眠時間が短くなります。

『寝ている子は起すな』その言葉は世界中で言われています。ヨーロッパではその言葉と同時に子の寝る環境にも配慮をしています。例えばスウェーデンの友人はムートンの柔らかな寝具に寝かせ柔らかなものに包まれる感覚を大切にし、白熱灯やロウソクの柔らかな灯りの元で寝かし付けをしていました。「日本のような蛍光灯の明かりなんて・・・ありえない」といっていた言葉は子宮に近い環境をなるべく作り、穏やかな睡眠を優先する北欧の福祉国家の一端を見たような気がします。


補足しておきますが睡眠時間が短くなると同時に多くの刺激を受け成長するため、物音を立てないように過ごす必要もありません。過剰なまでの静寂はかえって音に対する鋭敏さを身につけて神経質になります。どう過ごせば良いかはそのご家庭や環境、月齢にもよります。お悩みの方はご相談ください。


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