絵本『あまがえるのかくれんぼ』

あまがえるが葉に身を隠し私をじっと見つめてる・・・目が合った。

「ぼくたちを探して」といわれている様な気がして手に取ってみました。するとなんとも美しいタッチ、まるでピエール・ジョゼフ・ルドゥーテの世界観を思い出させてくれます。丹念に細部まで写実的に描いてありますが水彩画のようなその淡さが美しさを更に引き立ててくれています。

黄色い花びらの蝶ネクタイをし、ピンクの花びらスカートを穿き、花の愕(がく)の帽子を被る愛らしいあまがえるたち。表情や体の動きからコミカルでなんともいえない躍動感が味わえます。

自然の摂理を描いた自然科学の絵本の位置付けの一面もありますが、生物的あまがえるの姿を壊さずにさらっと擬人化されているストーリーと描写からは、あまがえるに人間の子供達を重ね合わせて読み進めることができるほのぼのさがあります。

仲間のラッタの体の色が変化して驚くアルノーとチモの表情、自身が病気になったのかと瞬膜を閉じて(下瞼を閉じる)悲しい表情になるラッタ。大慌てで仲間の体を洗ったり、草でこすったりとする慌てようがどこか懐かしいと感じさせる。『そうだ』子供が小さい頃、乳歯がぐらぐらとしだすと「ママー、歯がこわれちゃったよー」と大騒ぎをし半べそをかく子、その様子を見て自分の歯は大丈夫かと確認する子。そんなこともあったな・・・大人もこの3匹のあまがえるたちに子供を重ねて読み取る楽しさがあります。

次第に3匹のあまがえるの体の色が変わり始めます。あたふたしているとさらに厳しい自然界の弱肉強食の危険が迫ります。サギに食べられると思い諦めた瞬間・・・

全てのストーリーを説明したい所ですが、後は絵本でお楽しみください。

あまがえるの表情や心の動きを感じ物語を存分に楽しみましょう。絵本は目で見て心で味わう作家さんからの素敵なギフトです。子供達があまがえるを自分達に置きかえて、お友達や兄弟姉妹を思いやる心を育んでくれます。

また自然界に目を向け、自然科学の世界へと導かれる役目も担っています。物語を読みながらあまがえるの特徴などについて質問をする子もいるでしょう。何をどう感じるのか、どう捉えるのかはその子次第。急がずじっくりと絵本の余韻を楽しみましょう。

ちなみに雨蛙は黄緑・茶色・灰色・白の4色に体の色を変えることができますが、体の色を瞬時に変えるのではなくじわじわと変化させます。これはホルモンによるもので、以前調べたときには数十分から数時間かかるとも書かれていました。そんな知識を少しずつ図鑑などを通して積みあげていきましょう。するとほんんものの雨蛙に出会ったとき、その知識が泉の如く言葉として溢れ出たり、走馬灯のように頭の中を駆け巡り思考を深めたり、目の前のことから新たな発見が生まれるかもしれません。そしてじっくりと観察することへ繋がったりします。

皆さんの手元に大事な一冊としてあると素敵だなと思う作品です。







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