提案『秩序の獲得期』

子供は大人の私達がどうでもいいと思っていることにこだわりを見せる時期があります。いつもと同じことを何度も繰り返すこの『秩序の獲得期』は生後6ヶ月から発生し、2歳頃にピークを迎え3歳頃まで続き、4歳には消え去ってしまいます。今回は長い人生の中でわずか数年の秩序の獲得時期に何を重要視しなければならないかをお伝えしていきます。

この秩序性がなぜ必要なのかを先ず考えてみましょう。

子供は私達大人のような自らの基準と言うものを持ち合わせずに誕生し、その基準を持つために(獲得するために)この秩序性という発達の道を辿るのです。人生という大海原を進もうとするためには自分自身の羅針盤が必要です。その羅針盤を作る発達のひとつがこの秩序性なのです。そしてその秩序性は場所・順序・時間・所有・習慣で築かれていきます。

周りの環境を理解するために子供自身が自分の位置はどこにあるのかを周りの場所や秩序、時間や所有、習慣を通して確認し、いつも同じであることに情緒の安定を得て、自分自身の持つ羅針盤を確立していくのです。

そしてこの秩序性を理解すると次に知性の道を歩き始めます。


『場所へのこだわり』

我が子もありましたが、お客様がいつも主人が座る場所に腰を掛けようとすると『ここはパパのおせきなんだけど・・・」とやんわり着席を拒否をするなどいつもと同じパターンが乱されることを嫌うと同時にいつもと同じ人が同じ場所に存在することで心の安定がはかられます。

それは人ばかりではなく物も含まれます。物にも戻るべき位置や場所があることを教えると使用した後にどうすべきかを見通せ片付けを行うことができます。

こんなこともありました。乗り物コーナーにあるロッキングホースの上にぬいぐるみを置くと、「ここじゃない・・・」と出窓に飾るなど場所へのこだわりがありました。このような発達が出てきたらお片付を確りと教える時期です。大人になり片付けのできない場合はこの時期に整理整頓を学ぶ機会を逃しているのかもしれません。


『順序へのこだわり』

我が家では夕食を食べて入浴をするのが慣例でしたが、2歳頃その順番を逆にすると愚図りだしたり、時間が無くて着替えを手伝うことをした時に着せる順番を違えてしまうと、最初から自分で着直そうと服を全部脱ぐということがありました。毎日が、毎回が同じ流れで進む順序へのこだわりが出ていたのです。

またいつも通るお散歩道では刺激もマンネリ化すると思い道を変えようとすると「こっちにいく」といつもと同じ散歩コースにになること求め、いつもと同じ風景に安堵するのです。ご近所の家にいつもいるゴールデンレトリバーの姿を確認できないと「いない、いない」「ワンワンいない」とその場から離れようとしないこともありました。順序にこだわることで同じ風景を同じ犬を見て安心感を得て次の道に進む行動の獲得を自分なりに見つけようとしていたのです。次のステップの道筋が見えて基準が出来上がるための発達だったのです。


『習慣へのこだわり』

朝起きて真っ先にトイレに行く習慣をつけていた我が家でたまたまトイレに行く前に「お着替えして」というと「トイレ、トイレ」と習慣へのこだわりを見せる2歳の時期がありました。いつも行っているやり方を通さないと気がすまないのです。

また歯磨きをするときに立ち位置がいつの間にか決まっており、その位置が異なると相手を動かそうと指示を出すのです。生活習慣の中での場所へのこだわりもありました。


『時間へのこだわり』

時間へのこだわりを見せるときには時間を守ることを教えるとても重要な時期です。ですから基本的生活サイクルも出来上がることになります。我が家ではいつも同じ時間にベッドに入ること、いつもと同じ時間に登園することを徹底しました。

時間へのこだわり時期に忘れられない思い出の1つにおやつの時間があります。3時のおやつの時間にケーキが焼きあがらないと「まだ?まぁ~だ、もう3時になったよ」と連呼する3歳児でした。どうして待てないの?と思いますがそういう時期だと思うより仕方ありません。決して「1回言えばわかるよ、しつこいな」なんて言葉にしてはならないのです。ですからそのようなときには気分を変えることができるようにお手伝いをしてもらったり、時計を遅らせるという知恵も親は技として持ち合わせることが必要です。


『所有へのこだわり』

所有へのこだわりを見せるときにはどの子にも少なからずあります。持ち主をはっきりさせることで自分のものと人のものとの区別がつくようになります。所有物へのこだわりが出る頃は欲張りでも意地悪をしているのでもなく順調な発達を迎えた姿なのです。

我が子も自分のおもちゃをお友達が手にするとじっと見つめ続け、お友達が手放した途端しっかりと掴んで放さないことが見受けられました。おもちゃの譲り合いができなくても所有者をはっきりとさせ対応しましょう。自分のものを親が取上げお友達に貸すことは望ましくありません。いろいろな対応を提示しても物を放さない場合は受け入れてあげましょう。しかしお友達のものを奪ってしまう場合には所有者を明確にする必要がありますが、できるだけこのこだわりの時期は感情に火がつくようなことは避けて、別のものに目が向けられるよう情緒の安定をはかることも必要です。

また我が家では主人の持ち物には絶対に手を触れさせないように『パパのものは絶対なんだ』と伝えました。不在がちの主人の絶対的存在を明確にするためでもあり、たとえ主人が目の前に居なくても父親の存在を感じることができるようにしました。よって主人が座る椅子やソファーの定位置に誰かが座ることを嫌がったのかもしれません。

いつも同じことを繰り返し一貫性を通そうとするこの秩序性を重んじる時期は、自分の位置を明確にし前進するためのものさしや羅針盤を作る重要な時期です。4歳頃にはほぼその発達は消え去り順応性を見出すことができるようになります。そのわずか数年を上手に波に乗る方法を子供自身が見出していこうとすることから親はそのことを理解し対応していきましょう。

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