提案『ままごとの薦め』

タイトル通り今回取り上げるのは『ままごとの薦め』です。女の子の遊びとして意識されることの多いままごとですが、女の子だけの遊びで終わらせるのは大変勿体無いことです。子供の成長に於いてメリットが多々あることや男女共に家事分担なども行われる時代を迎え、将来のために遊びの中で種蒔きをしておくことも必要だと考えます。これらの理由から教室では男女の性差なくおおいに遊ぶよう指導をしています。是非心を育みながら社会性を構築し学ぶままごとを堪能させてください。

記事では皆さんのアイデアのヒントになるようを私の経験談をなるべく語るようにしています。今回は北の大地で行っていたままごとについてです。

期限付き切符を手に入れての生活は貪欲に親子で友達を巻き込んで謳歌しました。敢えて何も持たず遊びにいく公園でいろいろなものを調達し、どこに来ているのかを考えながらままごと遊びに興じたものです。時折冷たい風が吹く春には桜の花びらを拾い集め、子ども自身の手のひらが器で箸は指でままごとをし、夏は短い時間を惜しむかのように大地が広がる丘陵地でさらさらな土を葉っぱに乗せ野の花を飾り付けて、秋には白樺の林の中でリスが食べ残したどんぐりやリスの姿を捜しながら落ちたどんぐりを拾い集め、その辺にある平たい石を器に見立て枯れ枝を箸にし遊び、家に持ち帰ったどんぐりから小さな生き物が出てきて大騒ぎし、冬は容器に水を入れて一晩外に出し固めた氷の器に、パウダースノーの雪を盛りナナカマドの真っ赤な身を飾り付けて冷たい日の丸弁当と言いながら楽しんだ季節のままごとも懐かしく思い出されます。

沖縄では真逆の海や南国の植物を活用した素敵なままごとが実践できるのではないでしょうか。そんな夢を膨らませながら『ままごと』と年齢の関係やもたらす効果を学んでいただけたらと思います。

先ずは子供の年齢に合わせたおままごとの特徴を取上げます。

《 0歳児 》

おままごとができる年齢ではありませんが、お皿の上に食材を載せることや食材に見立てたものを手にして握る・くっつける・叩き合わせるなどの身近な手指の動作を再現することを行います。0歳児の多くはままごとの食材を手渡すと口に入れたり舐めたりします。いわゆるおままごとの土台となる『~ふり遊び』の始まりなのです。


《 1歳児 》

真似っこ遊び(模倣遊び)が始ります。また同時に擬音語が出るようになり、「ぱくっ、もぐもぐ、ごくごく」などの言葉と動作のやり取りが豊かになり、お母様や周りの大人を巻き込んだおままごと遊びが楽しくなる年齢です。この頃には周りの人の行動をよく見て真似るという技に磨きをかけていきます。大人の真似をして道具を使いたがりますが、器用さを育てている最中なので思うようにいかず愚図ることもあります。成功体験を積ませるような関わり合いでのフォローが必要です。


《 2歳児 》

道具の使用も意欲的に行えるようになりおままごと道具を使用して遊べるようになります。例えば、まな板の上におもちゃを載せて包丁で切ってみたり、トングやお箸で挟んだり、布で物をくるんだりなどの手先の器用さを中心とした遊びができるようになります。しかし同年齢の子供と一緒にままごとができる年齢ではまだありません。一人ままごとを堪能させましょう。


《 3歳児 》

3歳になると友達や周りの人と共にストーリー展開のあるままごとをすることができるようになります。例えば具体的に調理のイメージを持ち鍋におもちゃを入れて箸で混ぜたり、お玉でおもちゃの具材を掬ったり、お皿に盛り付けるなどの遊びの幅が増えます。具体的に特定の料理を作る段取りを所々実践できるようにもなります。


《 4歳以上 》

3歳でのごっこ遊びがより複雑化になり、遊びの中での役割などを設定し遊びを組み立てて買い物から料理作り、食事へと流れのある遊びを繰り広げるようになります。お店屋さんごっこ、レストランごっこ、家族ごっこなどの遊びへと移行していきます。

ここからは『ままごと』が子供の成長にどのようなメリットをもたらすのかを挙げていきます。

《1、想像力が豊かになる》

2歳以降から始まるままごと遊びはまだまだ個としてのもので、子供が乳児期から見てきた様々な日常生活からの学びをおままごとを通して体現していきます。そして3歳以降になって友達や周りの人々を意識したままごと遊びができるようになります。「こうしよう、ああしよう、これがあるともっといいな・・・」などと発想を転換させていくアイデアの絞り出しも生きる力に繋がります。この時期に意識しなければならないことは、仕上がった道具よりも想像力をかき立てる様なシンプルなおもちゃを使用させることです。想像力を働かせ脳を活性化させながらこのことについては次週2021年12月20日の記事にて詳細を論じます。


《2、コミュニケーション能力が上がる》

2歳までの個としての一人ままごとを堪能した上で、3歳以降になりままごとを通して友達や家周りの人々と共に役割遊びを行い、自分自身の言葉で思いを伝えながら楽しい時間を過ごしたり、時には意見の相違で喧嘩をしながら協調性や社会性を身に付け人との関わりの中でコミュニケーションの力を上げることができます。特に人とのコミュニケーションを避けたり、場の空気感を読めない場合にはなるべきままごと遊びを生活の中に取り入れて慣れていくことが必要だと考えています。


《3、語彙力が増える》

ものの名前は勿論、動作を表す言葉(切る、混ぜる、炒める、掬う、よそう、盛り付ける、配膳する・・・)を多用し、ままごと特有の形容詞(甘い、辛い、しょっぱい、酸っぱい、苦い、熱い、冷たい、固い、柔らかい・・・)、挨拶言葉(いただきます、ごちそうさま、召し上がれ、どうぞ・・・)ままごと遊びを通して多くの言葉を増やすことができます。またなりきり遊びも追加されると会話力も同時に鍛えられます。


《4、手先が器用になる》

ままごと遊びには多くのおもちゃやものを扱う動作が必要となり手や指を使い切る、混ぜる、摘む、挟む、刺す、ひっくり返す、振る、盛る、並べる、運ぶなど多くの動きを実践し器用さを獲得していきます。


《5、見通す力が付く》

年齢と共に一連の流れを見通しながら進めていくことができるようになります。例えばカレーライスを作るという遊びを実践しようとすると、材料は何が必要か、何をどのように切り、どの順番で炒め、どこで液体(お湯水・ブイヨンスープ)やルーを入れ、できたらどの器に盛り付け、食すのか、食べ終わったら食器を洗い方付けをするなどを考えて行動することができるようになります。この見通す力はやがて時系列を考える基礎作りにも通じることになるためおおいに思考させ、遊びの幅を広げ深めることが重要です。


《6、観察力・記憶力が付く》

乳児期から親がどのように動き、物事をどのように進めているのかを確りと観察し、やがてその動きを記憶という形で自分自身の中に留めて自らの行動に反映させていきます。よく親の行動を見ている子は物事全てをじっくり見ることに繋げることが上手です。自然と物事の本質を見抜くことや上手になりたい、そのためにはどうすべきなのかというような意欲も子供なりにゆっくりと身に付け、理解ができるようになっていきます。観察力はやや俊敏さというものと相反する位置にありますが、幼児期はじっくりと思考を育てるべきだという考え方の下指導をしています。付け加えておきますが俊敏さを否定するものではなく、別の方法で指導を行っています。


《7、生活や社会性のルールを理解する》

友達や兄弟、家族とままごとを通して遊ぶにはルールが自ずと発生します。そのルール学ぶためにはある程度の強制や我慢も求められ、時に感情を抑えて遊ばなければならないこともあるでしょう。と同時に自ずと相手を思いやる優しい気持ちの育みが行えるのもまた、ままごとの醍醐味でもあります。


子供が楽しそうに遊んでいるままごとの様子を覗いてみてください。女児の発す言葉が母親の口調そのものだったり、男児の演じている姿が父親そっくりだったり、ポテトサラダにみかんやりんごを入れるかで子供達の論争が始ったり、大皿におかずを盛り付ける子供や小鉢に少しずつ盛り付ける子供がいたり、ランチョンマットの代わりに新聞紙を敷くと片付けるのも捨てるだけでいいんだなんて子供もいたり・・・ご家庭それぞれのスタイルを子供達は包み画さず披露し、大人の纏う世間体が取るに足らないものに思え子供の純粋で素直さが神々しく感じます。私達大人も子供のままごとを通して多くの学び直しができることに感謝しなければならないとさえ思うのです。

子供達の可能性を最大限に引き出すままごと遊びが存分にできますよう願っています。

Baby教室シオ

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