提案『工作の薦め2』

子供の発達の原点は全て乳児からの積み重ねにあるといえます。今回取り上げる工作もまた乳児からの働き掛けの上に成立するもので、工作を行うのに必要な手や指の器用さと道具を扱う力、想像したものを形にする力です。手先の器用さであるファインモータースキルは巧緻性をさし、そのスキルは生後間もない頃から指や手を動かし発達を促すことが重要なのです。今回は工作の土台となる動きを年齢別に提案をしていきます。


1、ビリビリ紙破り

1歳からは破りやすいチラシなどの薄い紙に切り込みを入れ紙破りの練習を行います。1歳児は紙を横に引っ張って破ろうとするので、切れ込みを入れることで破りやすくなりビリビリとした音と感触が楽しくなるように取り組みます。切れ込みを入れた部分に左右の指で、片方の指を手前に引く練習をたくさんさせましょう。この取組みで指先にかかる小さな動きをマスターし、その反応で生じる紙を破る感触を感じ取る繊細さを大事に育てて下さい。


2、クルクル、クシュクシュ、グシャグシャまるめ

1歳半以降はまるめやすい薄い紙や折り紙、布にスポンジ、セロハン、ラップ、アルミ箔など材質の異なるものや硬さ大きさの異なるものを丸める楽しさを経験させましょう。最初は力任せに強く丸めることを行いますが、いろいろなものを丸めていくうちに徐々に力を抜いて柔らかい粘土のようなものを丸めることができます。この力を抜いて丸めることができるようになると、繊細な指先にかかる力でものが変化する様子を楽しむことができるようになります。すると物の形状を確認する力がつくため丁寧に実行しようとすることを身につけていきます。


3、シール貼り

シールを貼るためには乳児期のシールは剥がしを存分させておくことが必要になりますが、その動きを習得した後は1歳半以降から大きめのシールを台紙に貼る取組みを促します。最初のシール貼りはただただ紙の上に練習です。最初から枠の中に貼らせることは好ましくありません。先ずはシール紙から剥がしてシールを折り曲げることなく貼ることを目標にしましょう。その後貼る位置を指定した枠内に貼ることを進めて下さい。


4、紙をちぎる

ちぎった色紙やチラシを最初は無造作にちぎります。すると大きさや形の異なるものができて、じっと見ていると何かに見えてくるかもしれません。ちぎり絵は形のみならず、色の組み合わせを自由に行い楽しむことができます。



5、糊やボンドで貼り付ける

指に糊をつけていろいろな紙を貼り付けていきましょう。筆に糊をつけて、ボンドを使用してと異なる接着道具を使用し貼り付けていくのも学びの一つです。


6、自由に折る

2歳になると自由に無造作に、ある意味適当に折ることを楽しみましょう。折り紙を折る時のように几帳面に角を合わせて折る必要はありません。適当におったものが味がある年齢なのです。たまたま折ったものが何かに見えてくる可能性もあります。この何かに見えてくる見立ても想像力を育てることに繋がります。

3歳以降になると厚さのある紙皿なども折れるようになり、折り紙も正確に折れるようになります。


7、チョキチョキ切る

ハサミは手全体の巧緻性がなければ扱うことができない道具です。ハサミは使用したことの無い子供は大人や年上の子供が使う様子を見て、自分自身も使いたいという欲求が強い道具でもあります。がしかし手や指の器用さが獲得できなければ危険な道具でもあります。しっかりとした手や指の動きを獲得してスモールステップで紙を切る段階を踏んでいきます。


8、紐を通す

初期の紐通しはある程度の硬さと厚みを有する木製や厚紙などを用いて行いますが、手先の取り組みで指先を鍛えることによって薄い色画用紙などに小さな穴を開けた紐通しが容易になります。写真の生徒さんのように完成した作品の扱いに気をつけながら紐が通せるようになります。


9、セロテープを切る

セロテープを切るには切るためのコツを獲得する必要があります。一度セロテープの虜になるとやめられないという無限ループ的なことにはまってしまいますが、それもまた道具を扱うことや手先の器用さの獲得に結び付きます。セロテープが扱えるようになるとクラフトテープやガムテープの扱いにもその力を使うことができます。


基本的な1〜9までの動きを獲得すればその子供が持つ発想や想像力と相まって作品を作り出すことができます。五感を活用しさまざまな経験から創造性を高めていき、やがてそれらの力をもって集中しもの作りを楽しむことができるのが工作の醍醐味です。以下の写真は卒室された生徒さんですが、先に述べた取り組みを活用してお月見を工作作品として素敵に作り上げています。

子供の工作力について述べてきた私ですが、私が小学生の頃図画工作は教科の中で最も嫌いな教科でした。それがなぜ今では細々としたことが好きになったのかを考えてみると、子供と一緒に工作を楽しんだことが一番の理由だと思います。我が家での工作はいつからスタートしたかと言えば1歳のシール貼りからです。工作に値するのかと問われれば工作ではないかもしれませんが、さまざまな絵を描いて親子のオリジナルシール貼りファイルを作成したものです。どのような形であれ親子で楽しんで形あるものにすることが工作の始まりだと考えます。


子供を工作好きにする方法はただ1つ。親が楽しんでもの作りをする姿を見せることです。決して子供に何かをさせようと強制することをしてはなりません。親子で分担してものを作り上げてもいいと思います。実は親によって強制されたものを子供は受け入れ難く、逆に親が手本となり楽しんでいる姿を見することで子供もつられてやり出します。

工作には子供の可能性を広げる要素がふんだんにあります。幼い頃からものを作りで心の中に充足感を育ててほしいと思います。


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