スナップ『乳児1分間での多くの実験』
乳児はわずか1分あまりの短い遊び時間の中でたくさんの挑戦をしています。
乳幼児の中でも特に乳児は与えられた環境の中から自らの身体発達に必要な刺激を選択し、様々なことを吸収していきます。動物赤ちゃんが親から教えられることもなく自然とさまざまな行動を取るように、人間の赤ちゃんもまた自らの体を使い様々な発達を促していきます。
そして1歳前の子供たちは知恵の出現で生まれつき備わった育つ力を駆使し、様々なことを獲得しようと遊びの中多くの実験を行なっていきます。
その伸びようとする力の育みをお母様が意識し見守りをすれば、その行動の面白さと奥深さが分かります。
今回は沖縄あるあるのシーチキンまとめ売りの箱をお母様が活用させるというアシストを行い、乳児がペグさしのおもちゃからリングを一つ一つ丁寧に箱の中に入れるという遊びを行なっています。ここで注目してほしいのは、リングを一つ一つ取り出しているということ。この遊びの一つ前のステップであるものを全てひっくり返して出すという遊びを繰り返していなければ、リング一つ一つを出すという丁寧さの獲得には至りません。またリング一つ一つを差し入れするという遊びもしていなければ一つ一つ取り出せないということです。
つまり幾つもの遊びの上に成り立つ遊びなのです。ということは断片的な遊びを統合して遊んでいることになり、これが知恵の出現に繋がるのです。もし子供が入れる遊びをしなければ、その前の段階のひっくり返す遊びを存分にさせなければならないということです。
リングを入れた瞬間に入ったことを自ら納得するように「うんうん」と頷きながら達成感を味わい、直ぐに指を入れる動作を行い穴の中のリングを確認し認知行動をしています。
そして箱の上に載っているもう一つのリングの存在に気づきます。そして入れようとするのですが自らの足の上に箱を乗せているために、箱の傾斜でリングがスルスルと滑っていきます。
滑っていくリングを取ろうとすればするほどリングは遠くへ、腕をぐんと伸ばしてリングに指を入れることに成功しました。箱が足に載っている状態で前傾姿勢になり体重が箱に載るので苦しい体勢だと思いますが、それを堪えながら自分自身の踏ん張りで遊びを達成しようとしています。この時にはその踏ん張りを最大限に活かせるように見守ってください。
もう一つ別の見方をすると、箱が邪魔をして取りずらいということに気づいていないのです。このような経験をたくさんするようになれば、ものと自分との関係性を理解する知恵が生まれ箱を移動してリングを取りに行けるようになります。そうなる前段階の経験で忍耐力や問題を解決しようという挑戦をたくさんさせましょう。
やっとリングに指をさして持ち上げようとすると、今度は右手の箱穴に入れた指で箱の蓋が持ち上がります。するとなんだこの箱は持ち上がるじゃないかという発見で新たな気づきに至ります。
再度リングを入れることに挑戦しますがリングがコロコロと・・・
転がったリングを一瞬見失ってその行方を探しています。
ここでもお母様は見守りに徹してもらい安易にリングを取りに向かい子供に渡さないようにしましょう。ここでアシストしてほしいことは、「リングはどこに行ったかな?」と見回す行動を促してほしいのです。ものを探すという行動は遠くや近くを見る眼球運動になると同時に空間認知を促し、じっくりとものを探す忍耐力、発見した時の認知や喜び、発見したものに向かって駆け寄る達成感、ハイハイでの身体の発達の促しと様々な能力を伸ばすトレーニングになります。これがわずか1分で行われているのですから乳児が世界一の科学者と言われる所以なのも頷けます。
ハイハイが出てくる乳児期の後半は、1歳児の生涯初の知恵の出現と獲得に向けて一つの遊びで多くの実験を繰り返し、その統合により身体と脳発達、感情の成長を促していく重要な時期です。だからこそお母様がより深く見守りをしどのような行動をとっているのかを分析することで、その後の対応が変わりベストな育みを促せるのです。そのお手伝いをこれからも行います。動画等の分析についても受け付けていますのでお声掛けください。
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