絵本『おばあちゃんとバスにのって』
私の考えですが子育てはある種純粋に育てた方が良いという考えを持っています。子供の頃に醜いものや悲惨なこと、妬みや嫉みといった感情は心が豊かに育つまでは後回しにしてよいと考えています。ですがやはり世の中は純粋できれいで美しいものばかりではないということを伝える時期がきます。そのことを教える前に一度読んでほしい作品を今回は取上げます。
おばあちゃんと一緒に教会にやって来たジェイはその帰りまたバスに乗ってとある所に出掛けます。しかしジェイにとって雨の日にまたバスにってその場所に行くことに不満気です。おばあちゃんはジェイのマイナス的な発想をプラスに転じる言葉や考え方で切り替えていきます。
バスで目の不自由な人が乗ってきて席を譲るとジェイが「なにも みえないなんて たいへんだろうな」と言うと「あら、なにいってるの? ジェイ めがみえなくたって・・・」と物事を多角的に明るい見方を話します。子供に同調する方法もありますが、子供がマイナスのものの見方や捉え方をしているときにフラットな意見を伝えることの重要性をこの絵本で学ぶことができます。
バスでおばあちゃんや周りの人から何かを感じ取りバスを下り、あちらこちらの建物に落書きがある町並みを通りついた場所はボランティア食堂である。いわゆる炊き出しをしている場所に到着する頃にはおばあちゃんが自分よりも先に素敵なものを見つけることに気付きます。そしてあれほど不満気だったジェイの気持ちは、いつもの食堂を利用する人々の中にかお馴染みの人を見つけて「やっぱりきてよかった」と口にします。
純粋な子供でも多くのことを感じ成長することができるのはやはり周りにいる人の発言や考え方であることを描いた作品です。
はじめて絵本を書店で手にしたときには海外特有の絵のタッチが気にはなりましたが、物事には表と裏の二面性があり自分の物事の捉え方でプラスにもマイナスにも左右する事に気づくことができる作品だからこそ、絵は単調で人物の表情も読み手次第で想像できることができると考えています。もし子育てで子供がマイナス的な捉え方をしたときには「そうだね、でもこんな考え方もできるかもしれないね」と言えるような大人でありたいと考えさせられる作品でした。
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