提案『春見つけ』
子供たちに注意力や注視力を身に付けさせるためにはいろいろな手法やさまざまなタイミングがあります。乳児なら小さな埃やゴミを見つけ摘む頃やよちよちと歩く頃があり、特に歩行をしたての頃は自然の中で何かを見つける経験をと考えています。もちろん新生児の頃からの視覚認知をトレーニングするが最優先にすべきことですが、そこを積み上げて基礎固めをした後には自然界で何かを発見する実践をたくさん経験させるべきです。保育園に通う子供たちが散策に向かう姿を見るとどのような春見つけに出掛けるのか、何を見つけてくるのかと同行したい気持ちになります。
さてこの『春見つけ』何が素晴らしいのかといえば、やはり冬を乗り越えた自然界の植物たちが芽吹く力や生き物たちの生命の始まりを感じることです。
北国のような厳しい冬が無いため四季がはっきりしていないような沖縄に感じますが、それでもやはり毎年小さな春を見つけることはできます。特に1歳を過ぎた頃から子供自身が自らの足元に注意を払い小さなものを見つけ始めます。アリや木の枝、葉、花や石などを。そして飛び交う蝶に気づき始めたら、今度は上を見上げて何かを発見し自分自身の体を使い手を伸ばしたり掴んだり捕まえようとする、視覚と体の動かし方を連動させる能力を獲得するタイミングがやってきます。視線が下から上へ、近くから遠くへとものを捉える力を促し行い、見つける喜びから観察する学び、そして関心や興味といった意欲を掻き立てること、そしてその先に発見や観察から獲得したことをしっかりと知識に結び付け、その知識をインプットとアウトプットを繰り返し記憶の定着や記憶力そのもの精度を上げることに繋げることで総合的な力を全て底上げできるのです。学ぶ力や生きる力の強い子供はそのバトンを確実に繋ぐことができているといえます。是非とも着実にその積み上げをできる季節折々の発見をしてほしいと考えます。今回は『春』がテーマですが季節ごとの最初の月に『夏見つけ、秋見つけ、冬見つけ』を提案していきます。
それでは『春見つけ』をスタートさせていきましょう。
雪国のような寒く厳しい冬のない沖縄でも冷たい風が吹く冬を思わせる季節はあるもので、暦上は3・4・5月が春ですが沖縄では2月頃からそこここに小さな春を見つけることが出来ようになります。我が家の小さな箱庭にもちらほらと春が顔を覗かせ、見上げると桜樹に花が咲き始め階段横には紅白のツツジも花を咲かせています。
一方足元に目を向けるとどこからか種が飛んで来たのかハルジオンや蒲公英、ムラサキカタバミも愛らしく咲いています。これらの花も今の時期になると春を告げる草花としてそっとしておきたい気分になります。
日を追うごとに桜の花の数も増え毎朝目の周りの白い縁取りを持つメジロが花をツンツンとつつきにやってきます。どうにかその様子を写真に撮れないかとトライするのですが、私のその思いに気付くこともなく、鮮やかな黄緑色の羽色を持つ彼らは可愛い囁きを残して飛び立ってしまいます。おそらくあちこちに咲く緋寒桜の花の蜜を味比べしているのかもしれません。
今年はてんとう虫の幼虫をまだ見つけていませんので写真は以前撮影したものですが、春の花が咲き揃うと春のバトンは花から虫へ移ります。間も無くするとてんとう虫の幼虫が見受けられるようになるはずです。子供たちはてんとう虫は丸い形をしていると思っている子も多く、てんとう虫の幼虫がこのような姿をしていると知ると、ギョッとした表情で驚きます。その驚きを子供の表情から読み解くことができたら是非昆虫の世界に誘ってみましょう。
ちょっと自然界の春見つけからは脱線しますが、日本人の中に春を楽しむことがそこかしこに存在します。その中でも和菓子の世界は季節無しには語れません。季節ごとにお裾分けをいただきますが首里の『知念製菓四季彩さん』の桜餅を掲載しました。春は自然界に存在するだけのものではなく、私たちが季節を感じそれをいただくことや表現することもまた春見つけに繋がるのです。皆さんの春見つけを教えてくれたら共感する喜びが味わえそうな気がするので心待ちにしています。
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