絵本『あかちゃんがやってくる』
こどもプレスより出版され谷川俊太郎氏訳のこの絵本はお兄ちゃんになる長子の素直な思いと嫉妬や不安が母親のお腹の大きさと比例するように大きくなり、やがて大きくなった嫉妬や不安が兄弟が生まれてくることを受け入れ、お兄ちゃんになる決意が描かれています。
母親の愛情を一身に独占してきた長子の立場が揺るぎ始めることを少しずつ理解し始める様子を淡々と受け止め、強制的に受け止めるように取り計らうのではなく、調子が自分の気持ちに素直に向き合うためにじっくりと話を聞いてあげる母親の様子にも学ぶことが多い絵本となっています。
母親のお腹の大きさの変化もそうですが、十月十日と冬から春、夏、秋、また冬と季節の変化を母親とのお出掛けの様子で見ることができ時間経過も描かれています。また妊娠をしながらも上の子供に愛情をかけ様々な経験を積ませている母親の姿はしっかりと子供を見ているのだと感心させられます。
最後は弟か妹を受け入れて病院へおじいちゃんとお見舞いに行く場面が描かれています。子供自身が素直な思い、いろいろな感情を言葉にする機会を親が設けてあげると子供はしっかりと前向きに受け止めてくれるようになります。兄弟姉妹が生まれる前にしっかりと子供の心の声を聞いてあげることの意味をこの絵本から学べる作品だと考えています。
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