スナップ『乳児に手を伸ばさせることの意味』

今回は生徒さんのとても意義あるショットが撮れたのでその写真を見ながら私がなぜお母様方に「乳児に手を伸ばさせなさい。」と伝えているのかを解説していきます。

写真は8カ月の生徒さんです。目の前にあるおもちゃをどんどん手で払い蹴散らしながら遊んでおられるそうで「おもちゃを痛めつけているかの如くすごい勢いなんです。」とお母様はおっしゃっていました。まさしく乳児自身が手で払ったものがどのように広がり転がり、どうなっていくのかを学ぶ空間認知の真っ最中です。家が散らかるからといってさせないなんてことはあってはならないことで、散らばった物を踏んで怪我に繋がらないかと心配しすぎて全てを取り除くこともあってはならないこと。取り除くべきものは大怪我に繋がりそうなものだけで十分です。どんどん手で払い蹴散らすことをさせてください。

いろいろな物が四方八方に広がると新しい発見をすることも行われ、乳児自身が身体の使い方を学びばがら本能で多くのことを学び取っていきます。

このチェーンリングもまた手で払いのけて落ちたものを座卓の下で発見し、リングを潜り取ろうとしている瞬間です。

実はこの手を伸ばすという行為は生後3、4ヶ月頃から自分の手を認知し出し、手を伸ばすことで理解が進んだ奥行きを以って『できる、できない、できそうだ』という意識が新たな局面を迎えるタイミングなのです。どのようなことかというと、手を伸ばして届く距離を認知するだけではなく、その限界を知ることつまり自分の限界を肉体を以て気付くという事なのです。

実はこの行動には子供のチャレンジ精神も左右する発達が含まれています。

手が物に届かないという限界を知って諦めてしまう子と、何度もチャレンジする子の分かれ道でもあるのです。下の写真は一番最初のショットなのですが、右手で取ろうと果敢に挑戦するも頭が座卓の下に当たり手を伸ばしても届かなかったのです。それを踏まえて今度は左手で挑戦していたのが前出の写真3枚です。生徒さんはこれまでの経験から右手で取ろうとしてできなければ左とで取ろうとするという判断を下せているということになります。その状況判断ができるようになっているという発達に気付くことは親の学びでもあるのです。見過ごしてしまいそうな成長の欠片を一つ一つ集めるのもまた親御さんにしかできないこと。その小さな欠片にこそ幸せが詰まっているものです。日々お子さんを見つめて観察して幸せの欠片や種を拾い集めて下さい。


さて乳児の中には身体的な動かし方を知らずに物に手が届かない場合もあるので、教室ではおもちゃを使用し手や腕、肩の上げ下げを行い可動域を広げる働きかけを無理なく行っています。

どんどん上がっていく木玉と手元が不安になったのか笑顔から徐々に表情変化が見て取れました。初めての事なので少々戸惑ったのかもしれませんが全く問題はありません。頑張ってバンザイができるように左右のバランスを大切にしながら取組みを進めてください。


上記の取り組みを続けることで手を伸ばす、手を広げるということがスムーズにこなせるようになります。身体的な促しの不足で大切な発達が手付かずや等閑にならぬようにできることを無理なくコツコツと進めて悔いの残らないようにしましょう。

Baby教室シオ

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