提案『子供の手の癖について』

レッスンをしていると集中している子供とそうでない子供の違いに気付かされます。

集中力の中断を助長する行動には鉛筆を回したり転がしてたり、キャップをいたずらしたりと何気なくしている場合もありますが、意識的に消しゴムの消しかすを集めて一つにまとめようとしたり、消しゴムに鉛筆を突き刺したり、細かく割って遊び出す場合もあります。中には鉛筆や消しゴムを排除するとプリントの端を折ったり、くるくると巻いたりとあらゆる行動を一人でしている場合もあります。しかしその様な行動に全く関心を示さない子がいるのも事実です。ではその違いとは何でしょうか。

本題に入る前に少し親御さんの意識について話をしておきましょう。

親御さんが子供の手の癖について気付くのには早い遅いがあります。例えば医療従事者は口探索が終了した1歳以降に手や指を口に入れさせないよう気をつける方が多くいらっしゃいます。これはコロナ禍において皆さんも手指が実は一番汚れていることに気付かれたと思うので詳細は省きますが、手の癖は実は乳児期の早い段階で発生していることをあまりお気付きになっておられません。そして年齢を重ねる毎に子供の手の癖はいろいろな形に変化します。口ばかりではなく鼻や耳、おへそを触ることからやがて手の癖が治らない場合、就学以降は必ず文房具が格好の的になります。触る様子を見つけて辞めなさいと注意してもまた新たな触るものを探して子供はその欲求を実現していく場合が多く、その行動を排除することは難しいものです。実は注意されるべきは子供ではなく親御さんの過干渉によるものや認識不足によるものが関係しています。ではその理由について説明していきましょう。

これまでに幾度も子供の発達にはその時々で乗るべき波があるとお伝えしてきました。実は手の癖も子供の手指の発達と深く関係しています。

子供は乳児期に手のひらでものを掴むような発達をしたのちに、指一本一本の自立を促す発達期を迎えます。個人差がありますが一般的に生後7〜9か月頃に、自分自身の両手を目の高さに持っていきこの手指はなんだろうと指や手の動きをまじまじ見つめるようになります。それが指一本一本の自立を促す時期の到来を示しているサインなのです。実はこの発達時期に小さなものになるべくたくさん触れたり、掴んだり、摘んだりと手指からの情報を脳へ送り感覚統合を図らなければなりません。しかしこの頃はまだ口での探索行動があるために親御さんは誤飲が危険だからと小さなものを排除する方が圧倒的に多いように思います。しかしこの手指からの感覚統合を中途半端にしてしまうと積み残しとなり、幼児期になり色々なものを触らずにはいられないという現象が起こります。

実はその触覚の取組みを疎かにすることはある種学習に身が入らない状況を作る可能性をはらんでいます。しかし親御さんはその様なことで学習に集中できないことになってしまっていることに気付くことができないのですから、ついつい子供の悪い癖として捉えてしまっているのです。子供が成長するにあたって出現すべきことは時期をずらしてもそれを埋めようとする反応が出てきてしまうため乳児期の積み残しが学習期の集中力の妨げになることが生じるのも致し方ないと言えます。

乳児期に誤飲を避けながらの手指の発達をとるか、誤飲危険物を全て排除するかが幼児期と就学期の感覚統合や学習に作用することがあることを覚えておいてほしいと思います。

乳児期に小さなものを排除したと言う方は1歳以降に多くのものを触らせ触覚を楽しむ感覚統合をしっかりと行いましょう。小さなものを触る、掴む、摘むの経験は脳を育てることを十分に理解し実践して下さい。

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