絵本『せつぶん』
節分の行事には欠かせない豆まきですが、保育園や幼稚園に通う子供たちにとっては最も怖い日とも言えます。我が子供たちも幼稚園で父兄の扮する鬼に戦々恐々として泣き叫んで教室中を逃げ、先生にしがみついていた様子が思い出されます。そんな子供たちが怖がる鬼がいつの間にか悪者という意識を子供達に植え付けてしまっていますが、この絵本ではこれまでの節分に登場する鬼に対してのイメージを覆してくれる作品です。
どこの家でも行われている豆まきにより締め出された赤鬼と青鬼が、豆を買うことができない年老いた百姓の家に隠れることができたことにより展開されていく物語です。
サラサラと読みこなすことができる作品で鬼が怖いという子供達も物語に夢中になり読み進めることができます。
この作品の醍醐味は村上豊氏による愛嬌のある登場人物の描き方にあります。『はかまだれ』『うしかたと山んば』『うみぼうず』など男の子に人気の作品がありますが、私もその淡い色と水墨画をイメージできる味のある作品が大好きです。機会があれば作品を随時紹介していきたいと考えます。
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