絵本『一つの花』

先週から今週にかけての提案記事に連動して命に関係する作品を取り上げます。

この作品は1975年に出版されて50年近くになります。私も子供の頃に読んだことがある作品で子供達にも読み聞かせを行ってきました。そして出版されて51回もの再刷がなされています。第2次世界大戦時のこの物語ですが今回はシンプルに命について考え読んでほしいと思います。

命は必ず終焉を迎えます。それがどのような形で終わるのかに違いがあるにせよ命というものはとても儚く散りゆくもので、その命を輝かせるためにはどのような状況に陥ろうともその時々で想いを込めることであると深読みしてしまいます。登場人物の小さなゆみ子が戦時下の食糧不足の中で覚えた「一つだけ」は親としてとても切なくなる言葉です。出征直前の父親がおにぎりを欲しがり泣き叫ぶ娘の様子にどれだけ胸の奥がギュッと締め付けられたでしょう。斧切りの代わりに娘に手渡した一輪のコスモスが切なくも想像を掻き立ててくれます。

ゆみ子の家の周りはコスモスが咲き乱れ、生涯コスモスを目にする度に顔すら覚えていない父を思い出すことでしょう。

私も両親それぞれに花を通して思い出があります。父とはピンクや黄色の色鮮やかなノウゼンカズラ科のイッペイやトックリキワタ、そして母はすみれの花。これらの植物を目にする度に命のつながりを感じます。一人一人に天皇家のような植物のお印があってもいいのかなとふと考えてしまいます。ちょっとした脱線話でした。

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