絵本『モモ』
今回の絵本『モモ』はドイツの作家ミヒャエル・エンデによる名作で、もともとは児童文学でやや長めの物語を子供向けに再構成された絵本です。私も小学校高学年で読んで記憶があるのですが、読んでは「どういうこと?」を繰り返しなかなか読み進めることが難しかった印象が残っています。児童文学の『モモ』は長いストーリーなので、この作品は冒頭の主人公モモの存在そのものの不思議さと彼女の持つ人のみならず動物や自然の話に耳を傾け話を聞く才能について書かれています。幼児には難しい内容かもしれませんが、いかに人々の話を聞くことが重要なのかということに気づくだけでも十分価値のあることだと思います。
原本はかなりメッセージ性の強い哲学的な一面もあれば、戦後から高度成長期、そして現代の日本人が抱える働き方や物事への向き合い方時間の使い方、人生にとり本当に重要なことは何かなどとかなり深いテーマがあります。その後に続く灰色の男たちがやってきて巧みに人々の時間を時間貯蓄銀行に預けるよう持ちかけるファンタジーな展開になり、灰色の男たちは人々の生きる時間を秒で表現して町の人たちを言いくるめていき、やがて間貯蓄銀行に自分の時間を預けて時間を無くしてしまった町の人たちは時間がたっぷりあった時と時間がなくなった時を受け止めるなどと話が展開します。これらの内容を数冊の絵本に再編成しシリーズ化されるのであれば、絵本から児童書に移行できるになるのではないかと勝手に想像し期待してしまいます。絵本から児童書へと移行できない子供が多い中で、幼児期に深い読みができる作品は多く出版されることを願います。
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